自然と文化冒険気分で アドベンチャートラベル 多摩地域や島部誘客に力

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払沢の滝を案内する神野さん(右端)(14日、檜原村で)
払沢の滝を案内する神野さん(右端)(14日、檜原村で)
雪が残る山道を歩くツアー参加者ら(14日、あきる野市で)
雪が残る山道を歩くツアー参加者ら(14日、あきる野市で)

 四季折々の自然に親しみ、その土地の文化を学ぶ「アドベンチャートラベル(AT)」が、都内で広まりつつある。豊かな自然が残る多摩地区や島しょ部に、都市部に住む人や外国人観光客を引きつけようと、都も今年度から補助事業に乗り出した。

(畑武尊)

■上流へ走る

 「耳をすませば、異なった音が聞こえてきます」

 14日、檜原村にある高さ60メートルの 払沢ほっさわ の滝。同村に暮らす体験コンテンツプロデューサーの神野賢二さん(45)が語りかけると、記者を含めたツアー客6人は耳の後ろに両手をあて、自然が奏でる音に聞き入った。

 ツアーの出発地点は、JR武蔵五日市駅(あきる野市)前。そこから秋川の上流を目指してランニングが始まり、同市内や檜原村の景勝地や見晴らしの良い高台など、5時間以上かけて払沢の滝までの約15キロを巡る。この日の道中はうっすらと雪が積もるところも。ウサギやシカとみられる足跡があったほか、ニホンザルが目の前を横切る場面にも遭遇した。

 あきる野市の広徳寺に立ち寄った際、神野さんは「地元の人が誇りを持っている寺」と説明。自然だけでなく、その地域の文化についても訪ねた人に知ってもらうのが特徴という。参加したさいたま市の会社員(41)は「ひとりでは行かないような裏道を走れ、檜原村をよく知れた。期待通りに満足」と笑顔を見せた。

 神野さんは「都心からのアクセスが良く、大自然のきれいな渓流がある場所は珍しい。村の人口が減っていく中で、自然を生かした観光は活性化策のひとつだ」と強調した。

■都も補助金

 こうしたATを行う観光事業者を育てて支援しようと、都と東京観光財団は今年度から、事業者に対して、経費の3分の2(上限2000万円)を助成する補助事業を始めた。昨年10月に、檜原村の3事業者、小平市、大島町、小笠原村の各1事業者の事業が採択され、グランピングや、自然の中でのサウナなどの施設整備に対する補助金が出される。

 初心者から上級者まで楽しめるコースが整備され、「サイクリングの島」を打ち出す伊豆大島。大島町の高木巌さん(40)は電動アシスト自転車で島を巡りながら、名産のツバキ油づくりを体験できるツアーを提案し、補助事業として認められた。砂浜や林道も走れる自転車を補助金で購入し、3月中に新事業を始めたい考えだ。高木さんは「実際に体験するのが大事で、自転車で街おこしにつなげたい」と意気込んだ。

 東京観光財団は「外国人観光客は東京では都市部に集中している。都内でのATは緒に就いたばかりだが、育ててPRしていきたい」としている。

北海道が先行ガイド制度も

 

 地方の活性化につながるとして政府もATを推進している中、国内の「先進地」は雄大な自然を誇る北海道だ。昨年9月には国際団体「ATTA」が主催した「ATサミット」が北海道で開かれ、商談会が行われたほか、道内31コースの日帰りツアーが企画され、海外からも含め計約600人が参加した。

 行政も力を入れており、外国人観光客のニーズに応えるため、道は、専門知識や一定の英語力を持った独自の認定ガイドの制度を昨年7月に創設。2025年度末までに現在の4倍の100人に増やす方針だ。

アドベンチャートラベル

 国際団体「ATTA」は「アクティビティー(身体的活動)」「自然」「文化体験」のうち、二つ以上の要素を含む旅行と定義。政府の2025年度までの「観光立国推進基本計画」は、訪日外国人客呼び込みのための柱の一つと位置づけている。

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