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静岡県熱海市は観光振興の財源確保のため、市独自の法定外目的税「宿泊税」を創設する方針を決めた。26日に市行財政審議会から導入を認める答申を受け、2月市議会に条例案を提出する。導入されれば県内初。税額は1人1泊200円で、市は市議会の可決や総務相の同意などを得て、2025年4月からの導入を目指す。
市によると、市内のホテル、旅館など約360施設で徴収し、税収は年間約7億円を見込む。使い道は観光行事の開催支援や観光客増の施策などにあてられる。答申を受けた斉藤栄市長は「公約に掲げた宿泊税実現へ大きな一歩。持続可能な観光地作りや街の魅力を高める投資に必要な施策と認めていただいた」と述べた。
答申では、市行財政審議会の石井倭雄会長が「税負担をする宿泊者のニーズの把握と宿泊事業者への意思疎通を図ってほしい」と指摘した。
熱海市は22年末に条例案をまとめていたが、事業者などから意見を募ったところ、「客が減る」「使途が不透明」などの懸念が噴出し、市議会への提案を見送っていた。その後、事業者への説明を重ね、今回の再提案に至った。
宿泊税は自治体が徴収できる法定外目的税の一つで、税率や使途は自治体が条例で定める。人口減に伴う税収減とコロナ禍後の観光需要復活を受け、導入を目指す動きが広がっている。全国では3都府県と、金沢市や長崎市など5市1町が導入している。