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美瑛町はオーバーツーリズム(観光公害)対策の一環として、町内の観光スポットなど4か所にAI(人工知能)を搭載したカメラを設置する。混み具合をホームページを通じて観光客らに情報提供し、混雑緩和や私有地への立ち入りといったトラブル回避につなげる。2月に試験運用を始め、4月から本格稼働させる。
カメラは「クリスマスツリーの木」や「青い池」のほか、「十勝岳望岳台」と「道の駅びえい『白金ビルケ』」の計4か所に設置する。カメラに映る人数からAIがそれぞれの場所について「混雑中」「やや混雑」「混雑なし」の3種類に識別。即時に町や観光協会のホームページで公開し、レンタカーを利用する観光客や個人旅行者に参考にしてもらう。
町内の観光スポット周辺では、外国人観光客を中心に記念撮影で「映える場所」を求めて、畑や立ち入りが規制されている場所への侵入が後を絶たない。農地が踏み荒らされ、作物の生育に悪影響が出ることも懸念され、観光ガイドがパトロールを行っているが、本来業務もあり「いたちごっこ」が続いていた。
このため、町は「クリスマスツリーの木」と「青い池」に人の侵入を検知するカメラも設置する予定。周辺の農地や池に人が一定程度近づくと、設置されたスピーカーから日本語や韓国語、中国語、英語の4か国語で「畑に入らないで」「危険です」と警告するメッセージが流れる。併せて、撮影された画像が町職員らにメールで届く仕組みだ。人と動物の侵入を見分ける際にAIが使われるという。
今冬は、アジアなどからの観光客がコロナ下よりも増えると予想される。町によると、今年4~9月に約146万人が訪れており、町商工観光交流課は「1年を通して200万人前後の観光客を見込んでいる」という。
一方、コロナ禍が明けて路上駐車や不法侵入といったマナー違反も再び目立っている。同課の成瀬弘記課長補佐は「今まで看板の設置などで注意を呼びかけてきたが、あまり効果がなかった。AIカメラを活用して課題の解消につなげたい」と話している。