<独自>ロイヤルホテル、来春採用150人 コロナ前の1.5倍 万博・新規開業見据え

ロイヤルホテルの旗艦ホテル「リーガロイヤルホテル」。令和7年の万博に向け、改装工事がおこなわれる=18日午後、大阪市北区(柿平博文撮影)
ロイヤルホテルの旗艦ホテル「リーガロイヤルホテル」。令和7年の万博に向け、改装工事がおこなわれる=18日午後、大阪市北区(柿平博文撮影)

ロイヤルホテルが、大阪と京都の同社のホテルで勤務する令和6年春入社の新卒採用を新型コロナウイルス禍前の水準の約1・5倍あたる150人まで増やす計画であることが18日、分かった。旗艦のリーガロイヤルホテル(大阪市北区)は英ホテル大手に加盟し、大規模改装を行う方針。2025年大阪・関西万博の開催や、インバウンド(訪日外国人客)回復を背景とする新規開業で不足が見込まれる調理職を中心に、人材獲得と育成を急ぐ。

植田文一新社長が産経新聞の取材に明かした。同社はコロナ禍前、毎年100人程度の採用を実施。コロナ禍では20~30人ほどに抑えたが、今春は113人を採用。「万博に向け人材が必要」(植田氏)などとして、来春の採用を150人まで増やすとした。

今春は大学新卒者に加えて高校卒や外国人の採用を強化し、コロナ禍で離職が増えた調理職を中心に社員を募った。

高卒予定者は関西にしぼっていた採用活動を全国規模に広げ、調理技術の習得などを前提としない普通科も対象としたところ想定以上に応募があり「調理職を希望する高卒内定者の約5割が普通科出身だった」という。

調理を学んだ経験がなくても「実践を積ませながら教育もできる」とし、経験豊富な現場のスタッフが直接教えることが早期育成につながるとしている。

一方、植田氏は「新規開業の具体的な計画がある」と明かし、国内での拠点増に備える狙いも示した。

同社は今年3月、米国の不動産投資ファンドにリーガロイヤルホテルを売却し、ホテル運営に特化する戦略に転換。この結果、「さまざまな地域からリーガロイヤルのブランドで運営を委託したいとの話が増えている。立地や採算性を見て(運営を受託すべきか)取捨選択している」とした。

大阪では万博に向け、外資系大手による高級ホテルの開発計画が相次いでいる。

米ヒルトンはJR大阪駅北側の再開発地区(グラングリーン大阪)で「ウォルドーフ・アストリア」を、シンガポールのカペラホテルグループも「パティーナ」「カペラ」を大阪城近くや京都市内に開業する。いずれも万博が開催される令和7年を予定している。

米マリオット系の「ウェスティンホテル大阪」(大阪市北区)など既存ホテルはこうした開業ラッシュに備えて客室やレストランの改装を急ぎ、競争力の維持を図っている。(田村慶子)

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