成田空港9月中間決算 4期ぶり黒字 インバウンド急増

成田国際空港会社(NAA)が30日発表した令和5年9月中間連結決算は、純利益が36億円で4期ぶりの黒字となった。新型コロナウイルス禍での水際対策が終了し、訪日客(インバウンド)が急増、空港内の物販も伸びた。世界各国から増便や新規就航の要望が相次いでおり、日本側の受け入れ態勢の強化が求められる。

記者会見する成田国際空港会社の田村明比古社長=11月30日、成田空港
記者会見する成田国際空港会社の田村明比古社長=11月30日、成田空港

「ようやく暗くて長いトンネルの出口にたどりついた」

田村明比古社長はこの日の会見でこう話し、4期ぶりの黒字に安堵(あんど)の表情を浮かべた。売上高に当たる営業収益は前年同期比87・7%増の997億円で、3期連続の増収。6年3月期の業績予想は営業収益2006億円、純利益を6億円とする従来の予想を据え置いた。

国際線の外国人旅客数(4~9月)は804万人で前年同期の約7倍に急増。今年4月の政府による水際対策の撤廃などが追い風となり、東南アジアなどを中心に日本旅行人気が高まっているという。国内線を含めた航空機発着回数は10万5千回で、2万2千回増えた。

インバウンドは今後も回復が見込まれる。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は先行きについて「円安の状況下で、日本は外国人にとって旅行しやすい国として定着した。中国を中心にまだまだ伸びしろはあり、6年は過去最高を更新する」と予測する。

一方で課題となるのが受け入れ態勢だ。空港職員だけでなく、宿泊などサービス業を中心に人手不足は深刻さを増しており、拡大する需要に対応しきれず、「ビジネスチャンスを取りこぼす可能性もある」(小林氏)とする。

田村社長は「新規就航や増便の要望をしっかりと受け止めて、受け入れ態勢を整備する努力を続ける」と強調。労働力不足を補うための自動化や省力化にも積極的に取り組む考えを示した。(松崎翼)

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