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福井県敦賀市や県、敦賀商工会議所は、来年3月16日の北陸新幹線金沢―敦賀間延伸を機に、敦賀港がある同市金ヶ崎地区に、ホテルや物産販売エリア、スイーツ店などを備えた複合施設や公園を整備する構想を明らかにした。近くの赤レンガ倉庫などと通路で結んで一帯を新たな観光名所にし、多くの観光客らに敦賀で長時間滞在してもらうことを目指す。(高山智仁)
敦賀港は古代から大陸との交流で栄え、明治時代から昭和初期にかけては東京と欧州をシベリア鉄道経由で結ぶ欧亜国際連絡列車の中継点としてにぎわった。市は近年、一帯に港の歴史を伝える資料館「人道の港 ムゼウム」のほか、レストランやカフェを併設した赤レンガ倉庫を整備してきた。
県の推計では、2022年に260万人の観光客が敦賀を訪れたものの、うち宿泊客は2割の54万人にとどまっている。
市は昨年春、県、敦賀商議所と連携し、「前田建設工業」(東京都)やリゾート施設運営会社「アクアイグニス」(同)の2社と「
今回の構想は22日に市内で開かれた「金ヶ崎周辺魅力づくり協議会」で示された。オーベルジュ(ホテル棟)だけでなく、物産販売を担う建物(マルシェ棟)、スイーツ店などが入る建物(スイーツ棟)からなる大規模な複合施設を建設。近くの敦賀港線の廃線跡を鉄道公園に整え、周辺に点在する赤レンガ倉庫やムゼウム、金崎宮などを遊歩道で結んで回遊性も高めるとしている。
市は将来的に、再開発が進む敦賀駅前や気比神宮周辺も刷新。北陸新幹線で訪れた観光客らに敦賀で長時間滞在してもらう街づくりを目指す。
一方で、構想の具体的なスケジュールや整備主体、財源は明らかになっていない。事業費の算定や採算が取れるかどうかも不明だ。
構想では、マルシェ棟は流線状の大屋根で覆われ、ホテル棟とスイーツ棟は屋上が緑化された展望デッキがある。鉄道公園には転車台や劇場を持つ。大型駐車場も備え、海辺には復元された北前船が並ぶ。すべてを整備する場合、「かなり大型の投資になる」(関係者)。
市は22日、市議会にも構想を説明。市議からは「市の新たなランドマーク。観光収入の増加が見込める」といった前向きな反応があった一方、「いくら必要なのか」「負の遺産にならないか」と不安視する意見も出た。
市の担当者は「今回はたたき台。今後、多様な意見を踏まえて修正する」とし、敦賀商議所の奥井隆会頭は「北陸新幹線延伸はチャンスだ。構想は敦賀の歴史と文化を生かした壮大なものだが、官民一体となって実現したい」と意気込む。