「空港勤務」若者にPR 麻薬探知犬の訓練体験

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(上)麻薬探知犬の訓練に参加する高校生たち(8月9日、成田市の東京税関麻薬探知犬訓練センターで) (下)航空機に荷物を搭載する仕事を見学する高校の教員たち(8月3日、成田空港で)
(上)麻薬探知犬の訓練に参加する高校生たち(8月9日、成田市の東京税関麻薬探知犬訓練センターで) (下)航空機に荷物を搭載する仕事を見学する高校の教員たち(8月3日、成田空港で)

 成田空港に拠点を置く企業や団体が、働き手の若手人材を呼び込もうと工夫を凝らした求人作戦を展開している。麻薬探知犬の訓練体験では、普段は非公開の場所に高校生を招き、税関業務の魅力をアピールしている。空港はコロナ禍から回復しつつあり、将来的な滑走路の増設で旅客の増加も見込まれる。求人に力を入れるのは、旅客増に備えて人手を確保するためだ。

 空港に近い東京税関麻薬探知犬訓練センターに8月9日午前、高校生15人が集まった。センターは麻薬探知犬を訓練し、犬とペアを組む「ハンドラー」と呼ばれる税関職員を育成する全国で唯一の施設。通常、部外者が立ち入ることはできない。

 センターで訓練を積んだ探知犬と職員は、全国の税関に派遣され、不正薬物の密輸防止などに携わる。「探知犬になるには長時間の検査に耐えられる性格が必要で、訓練を受けた犬のうち、実際に働くのは3割ほど」。女性ハンドラー3人が説明すると、生徒らはメモを取っていた。

 3人はいずれも20歳代の前半だ。「生徒たちに年齢が近い職員が説明することで、親しみや仕事の魅力を感じてもらえる」。中堅の職員は狙いを語る。

 生徒たちは空港の手荷物検査場を模した部屋で、密輸犯を見つける訓練も模擬体験した。高校3年生のクラージェ彩海さん(18)は「子どもの頃、海外の空港で麻薬探知犬を見てハンドラーに憧れた。実際に訓練を見たことで税関職員になりたい思いが強くなった」と話した。

 ハンドラーの田中弥々さん(22)は、「生徒たちが就職先を決める時に、私の話や仕事ぶりが少しでも役に立てればうれしい」と語った。

 8月3日には県内の企業や経済団体、自治体などでつくる成田空港活用協議会と成田国際空港会社(NAA)が初めて、県内と茨城県内の高校の教員26人を招いて空港視察ツアーを開いた。教員らは航空機の誘導や給油、荷物の搬入などの地上業務を担う「グランドハンドリング」の仕事や、保安検査の現場などで働く若手職員の姿を見て回った。

 教員と空港関連企業との座談会もあり、高校を卒業して間もない若い社員が入社後の体験を語った。保安検査業務を担う企業の女性社員(19)は、「働きながら社内資格を取って、最終的には国家資格を取得したい」と話し、やりがいのある職場だと強調した。

 教員らは企業の人事担当者に、「外国籍の生徒が増えている。語学が堪能な生徒は採用でも優遇されるのか」などと質問していた。

 成田空港では機能強化の取り組みが進んでおり、2029年3月を目標に3本目の滑走路が新設される。年間発着容量は、現行の30万回から50万回に増やすことを目指している。

 NAAは、旅客需要の増加に伴い、空港従業員数は将来的に7万人が必要になると試算する。今年2月時点の従業員数は約3万6000人で、ほぼ倍増させなければならない計算だ。

 3月にまとめた「『新しい成田空港』構想」の中間とりまとめでも、「労働力不足への対応は喫緊の課題」と強調。持続的にサービスを供給するため、体制を整えておくことが重要だと指摘している。

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