KNT-CT、近ツー過大請求で再発防止策 金額最大7億円に
KNT-CTホールディングス(HD)は20日、子会社の近畿日本ツーリストによる新型コロナウイルス関連の受託事業での過大請求事件を受けて、再発防止策を発表した。グループ全体のコンプライアンス(法令順守)研修を担う教育機関を設置するほか、受託事業の管理にIT(情報技術)システムを導入して不正を防ぐ。
KNT-CTHDの米田昭正社長は同日の記者会見で「最重要課題が経営陣と社員の意識改革だ。意識が変わらなければ真の改革にはつながらない」と話した。
再発防止策ではグループ全体の教育機関「KNT-CTアカデミー(仮称)」を2024年1月に新設する。倫理観を養う研修を同年3月までに始める予定だ。会社が費用を負担して、全社員に社外の「ビジネスコンプライアンス検定」を取得させることも検討する。
受託事業の管理体制も見直す。過大請求では人件費を水増ししていた。今後は案件ごとに従事した人や日時、場所、業務内容について社内外のスタッフの勤怠を一括管理できるシステムの導入を検討する。
近畿日本ツーリストの瓜生修一社長は「旅行業では請求書の発行から入金管理までのシステムが整っている。受託事業でも数値管理を徹底してできるシステムを導入し、数字で差分が起こらないようにする」と述べた。
20日の記者会見では、20年4月〜23年3月末に受託した新型コロナ関連事業などで最大で37自治体に計約7億円を過大請求していた可能性があることも明らかにした。社内で検証した結果、8月に発表していた最大9億円から減額した。
すでに14自治体に3億6000万円を返納した。返納額で合意したものの、返還が済んでいない自治体もあるという。