NYタイムズ「行くべき」 米紙効果 盛岡に海外客 受け入れ態勢整備進む

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観光客でにぎわうJR盛岡駅。改札前では「盛岡さんさ踊り」が披露された(4月30日)
観光客でにぎわうJR盛岡駅。改札前では「盛岡さんさ踊り」が披露された(4月30日)
盛岡の魅力について英語で発表する参加者(4月22日、盛岡市で)
盛岡の魅力について英語で発表する参加者(4月22日、盛岡市で)
東京都内で開かれた観光PRイベントでは、達増知事(左)と谷藤裕明・盛岡市長の「わんこそば対決」も行われた(2月23日、東京都の「いわて銀河プラザ」で)
東京都内で開かれた観光PRイベントでは、達増知事(左)と谷藤裕明・盛岡市長の「わんこそば対決」も行われた(2月23日、東京都の「いわて銀河プラザ」で)

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が1月に発表した「2023年に行くべき52か所」の旅行先に、盛岡市が選ばれてから約4か月。市内では英語の表示や音声案内などの受け入れ態勢の整備も進み、連日、国内外から多くの観光客が訪れている。一方、コロナ禍で規模を縮小していたタクシーやバスなどの交通機関では、人手不足が課題となっている。(松本茉莉)

 「Good Job!」「Nice」――。盛岡市内のオフィスビルの一室に、英語の大きな声が響く。民間団体が4月に開いた「英語ガイド研修会」だ。県内の大学生から70歳代の13人が参加し、グループに分かれて外国人観光客への対応を学んだ。

 講師から「知りたいことをくみ取ってあげて」と心掛けを伝授された後、参加者らは1人ずつ英語のスピーチに挑戦。三大麺や、昔ながらの景観、人の優しさなど、盛岡の魅力を身ぶり手ぶりを加えて紹介した。地域おこし協力隊として同市の温泉施設「ユートランド姫神」で働く山本明子さん(52)は「学んだことを余すことなく伝えたい」と意気込む。

 盛岡観光コンベンション協会によると、JR盛岡駅の「いわて・盛岡広域観光センター」の4月の対応件数は7203人に上り、前年同月(1539人)の約5倍に増え、コロナ禍前の19年同月(4293人)の1・7倍になった。大型連休中(4月28日~5月7日)は3064人で、このうち外国人観光客は252人に上った。

■英語マップ作成

 観光客向けの環境整備も進む。市は無料の公衆無線LAN(Wi―Fi)を8か所から32か所に拡充。同協会は、まち歩きの英語マップ「MORIOKA Town Guide」を作成し、外国人に人気の盛岡城跡公園などを含む6ルートを紹介している。

 市はさらなる誘客を目指し、4月の補正予算に観光事業費として約4000万円を計上。米ニューヨーク市で8月に行われるイベント「ジャパンビレッジ夏祭り」に盛岡さんさ踊りの関係者を派遣し、魅力を発信する予定だ。観光課の藤谷徹課長は「盛岡が世界中から注目を集めている。PRを強化することで、さらに大きな流れを作ることができれば」と期待する。

■乗務員不足課題

 観光客数が増える一方で、課題となっているのがバスやタクシーなどの人手不足だ。コロナ禍で観光客が減った時期に多くの企業が従業員や車両を削減しており、対応が遅れている。

 県交通は、乗務員不足などを理由に、4月から盛岡地区で平日は216本減の1767本、休日は64本減の1256本に見直した。県バス協会の菅原克也専務は「観光客の受け入れ強化に必要とは認識しているが、今の便数を維持するだけで精いっぱい」と漏らす。

 同社は賃上げや中途採用の強化や処遇改善に取り組み、市も運転手確保のための補助金として2000万円を計上し、採用1人当たり40万円を給付して後押ししている。

 新型コロナの感染症法上の分類が引き下げられ、8月の「盛岡さんさ」などには多くの外国人観光客の来訪も予想される。盛岡市を推薦した記者クレイグ・モドさん(42)は「今だけのブームにしたくはない。岩手の良さをこのまま守り続けてほしい」と話した。

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4095277 0 ニュース 2023/05/12 05:00:00 2023/05/12 05:00:00 2023/05/12 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/05/20230511-OYTNI50064-T.jpg?type=thumbnail

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