完了しました
九州・沖縄で大規模なイベントを開催できる施設が増え、国際会議や展示会などを指す「
プロバスケ試合に４８００人
今月６日。同アリーナでグランドオープンに先駆けて、プロバスケットボール・Ｂリーグ２部の試合が行われ、約４８００人が詰めかけた。山口
アリーナは鉄骨４階建てで、延べ床面積は約３万平方メートル。ＪＲ佐賀駅北口から徒歩で約１５分の場所に、県が約２５７億円で整備した。県は経済波及効果を約１０年間で７７６億円と見込む。２０２４年に県内で開催される国民スポーツ大会（国スポ）の会場となるほか、Ｂリーグ２部の佐賀バルーナーズや、バレーボール・Ｖリーグ１部女子の久光スプリングスの本拠地になる。
課題はいかに安定的に稼働させるかだ。バルーナーズとスプリングスの試合は１０～４月頃にあり、年間３０～４０試合が見込めるが、試合がない期間に、ＭＩＣＥをどれだけ誘致できるかが焦点になる。
現時点では、国スポが行われる２４年までの土日はほぼ全て予約が埋まっており、出足は好調だ。６月以降は人気ロックバンド「B’z」や歌手の松任谷由実さんのコンサートも開かれる。
９０年代以降、続々開業
九州・沖縄では１９９０年代以降、大規模なイベントを開催できる施設が増えてきた。経済拠点の福岡市には９５年、マリンメッセ福岡が開業。泉都・大分県別府市にも同年、ビーコンプラザがオープンした。
さらに、２０１９年に熊本城ホール（熊本市）、２１年には出島メッセ長崎（長崎市）も開業。福岡市も同年、マリンメッセ福岡にＢ館を増設した。沖縄県沖縄市も同年、Ｂリーグ１部チームの本拠地「沖縄アリーナ」を建設した。大分県観光政策課の担当者は「ライバルが増え誘致の競争は激しくなるだろう」と指摘する。
誘致するイベントの中でも、関係者が重視するのが国際会議や学会などだ。高所得の参加者らが観光や飲食、宿泊などの「アフターコンベンション」を楽しむのが一般的で、経済効果が大きいとされる。政府もＭＩＣＥを観光立国実現に向けた柱の一つに位置づけ、国際会議誘致などを進めてきた。
日本政府観光局によると、国内で開催された国際会議の件数は、１９年に過去最高の３６２１件を記録。トップが東京２３区の５６１件で、福岡市は３１３件で４位、西日本総合展示場などがある北九州市は１５０件、熊本市１８件、佐賀市は１件だった。しかし、２０年からのコロナ禍で状況は一変。同年は全国で２２２件、２１年は２９件まで落ち込んだ。
「連携してもいいのでは」
各地はコロナ後を見据え、誘致を強化する構えだ。佐賀県の担当局の園田佳樹係長は「コロナが収束に向かい、学会が対面の通常開催に戻ってきている。最高のタイミングで誘致がしやすい雰囲気になってきた。追い風にしたい」と意気込む。
熊本市は熊本県内への半導体受託製造大手・台湾積体電路製造（ＴＳＭＣ）の新工場建設を踏まえ、半導体関連の国際会議誘致を模索し独自性を出す意向だ。
ＪＴＢ総合研究所の小島規美江・ＭＩＣＥ戦略室長は「誘致に大事なのはＭＩＣＥの中身だ。地元産業に絡むものは誘致しやすい」と指摘。そのうえで、「国内客を奪い合うより海外を見るべきで、『オール九州』で連携してもいいのではないか」と話している。
◆ＭＩＣＥ ＝Ｍｅｅｔｉｎｇ（会議）、Ｉｎｃｅｎｔｉｖｅ Ｔｒａｖｅｌ（報奨・研修旅行）、Ｃｏｎｖｅｎｔｉｏｎ（国際会議）、Ｅｘｈｉｂｉｔｉｏｎ／Ｅｖｅｎｔ（展示会・イベント）の頭文字を取った造語。地域への経済効果や、参加者の交流による新たなビジネス機会の創出などが期待され、世界の都市が誘致を強化している。
