静岡空港、22年度旅客数コロナ前の5割 国内線主体
静岡県がまとめた静岡空港(同県牧之原市)の2022年度の搭乗者(旅客)数は21年度比87%増の35万2114人だった。ほぼ国内線が占め、国際線は2485人にとどまった。新型コロナウイルスの感染拡大前の19年度比では半分にとどまる。23年度は国際線の就航再開やビジネス需要の掘り起こしが課題になる。
国内線の搭乗者数は34万9629人(搭乗率は61%)。19年度の76%まで回復した。コロナ対策の行動制限がなく、国の旅行支援もあり、個人旅行が回復した。静岡県空港振興課の小野一課長は「コロナの影響による減便など運航計画の変更はなく年間を通じて安定していた」と話す。
22年度の就航予定便数はコロナ前の93%まで回復。方面別の搭乗率を見ると北海道方面が6〜7割、福岡や鹿児島など九州方面が5〜6割程度で沖縄線が4割だった。5月の大型連休と夏休み、年末年始の三大需要期は、静岡県発で北海道や沖縄、九州方面に出かける利用客が急増した。
コロナ禍が落ち着き、国の旅行支援策は今夏にも終了する可能性がある。国内線では全日本空輸(ANA)の北海道・新千歳線と沖縄・那覇線が3月に運航しないなど、こうした人気の観光地向けの便数強化が利用客増のカギを握る。小野氏は「ツアー商品を開発している旅行会社に働きかけたり、SNS(交流サイト)で魅力を発信したりして、高い搭乗率を維持し、就航につなげたい」と話す。
個人旅行と比べて回復が遅れているビジネスや修学旅行需要のテコ入れも急ぐ。既に「ビジネスサポートキャンペーン」という企画を打ち出し、空港を支援するサポーターとして登録した会員企業の社員が出張で静岡空港を利用すると、条件に応じて数千円のキャッシュバックを受けられる。
修学旅行ではコロナ下で旅行トレンドになった「マイクロツーリズム(近隣・周辺旅行)」の起点として、静岡空港の魅力を訴える。
国際線は3年ぶりに運航を再開したが、コロナ前は年間27万人以上が利用していただけに、本格回復が見通せない状況だ。2月に韓国・ソウル、3月にベトナムのチャーター便が運航。ソウル線は3月に定期便も再開し、臨時便を含めて毎日運航している。
ただ台湾・台北便や中国・上海便といった東アジア路線は運休が続く。20日には中国東方航空や北京首都航空が中国便の運休を5月下旬まで延長することを発表した。「中国政府次第だが、県の上海事務所とも連携しながら運航再開を目指したい。台湾についても粘り強く航空会社に働きかけていく」(小野氏)
日本人の海外旅行需要も鈍い。円安や物価高で割高感が増しているため、就航に必要な一定程度の乗客数を確保できるか不透明になっている。静岡空港は、まずは中部国際空港(愛知県常滑市)や羽田空港(東京都大田区)に流出していた利用客を取り戻す施策を検討している。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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