越境ECで香川県産品、航空系やJTBなど取り組み相次ぐ

アジア向けの越境EC(電子商取引)サイトを通じ、香川県の特産品や伝統工芸品を販売する動きが広がってきた。ANAグループの地域創生会社、ANAあきんど(東京・中央)などは中国向け販売を開始、百十四銀行は取引先に日本航空(JAL)の運営サイトの紹介を始めた。JTBは伝統工芸職人らの新商品を台湾向けサイトで扱っている。販路拡大に加え、観光での来県につなげる狙いもある。
ANAあきんど、中国市場開拓支援のACD(東京・港)は香川県と連携し、中国の対話アプリ「WeChat(ウィーチャット)」で観光情報を紹介するコーナー「香川県公式ミニプログラム」を2022年夏に開設。そこから中国向け越境ECサイト「全日空海淘」へ誘導している。
商品を掲載している企業は現在4社で、食用オリーブ油や県内で産出する岩石「サヌカイト」でつくった楽器、化粧品などを販売している。
百十四銀行は22年7月にJALと包括連携協定を締結し、その一環としてJALが運営する越境ECサイト「日本航空優選」向けの取り組みを始めた。
5日から同サイトを運営するJALに取引先を紹介するサービスを開始、中国市場の販路開拓を支援する。同行は香川県の魅力をPRすることで中国からのインバウンド(訪日外国人)客の増加にもつなげたいという。

ただ中国向けの越境ECサイトは香川県だけでなく他県でも利用拡大が続いている。今後は魅力的な商品づくりや、ECサイトで取り上げる商品のPR戦略が課題になっている。
その中でユニークな商品づくりに取り組んでいるのが旅行大手のJTBだ。21年からアーティストやクリエーターらと県内の伝統工芸、地場産業の職人をつなぐ連携事業「SANUKI ReMIX(讃岐リミックス)」に取り組んでおり、その成果として開発された新商品を7日から越境ECサイトを通じて販売している。

JTBのグループ会社が運営する日本好きの外国人を対象にしたウェブメディア「FUN!JAPAN(ファンジャパン)」の台湾向けサイトで、「讃岐リミックス」の事業を紹介するとともに、購入ページで新商品を発売した。保多織の服や丸亀うちわなどの伝統工芸品を扱っているが、いずれも独創的な意匠などが特徴だ。
伝統工芸品は地域独自の商品だが、大量生産品に押され、後継者不足に悩む厳しい経営環境にある。新しい発想で製品をよみがえらせ、海外の消費者の関心を高める狙いだ。JTBは同サイトでの販売で、香港の消費者への波及効果も期待している。
(竹内雅人)