スシロー運営会社、廃食油を航空燃料に 日揮などと

廃食油を提供する「スシロー」(フード&ライフカンパニーズ提供)
廃食油を提供する「スシロー」(フード&ライフカンパニーズ提供)

回転ずし店「スシロー」などを運営するフード&ライフカンパニーズ(F&L)と日揮ホールディングス(HD)、バイオディーゼル燃料製造のレボインターナショナル(京都市伏見区)など4社は5日に大阪市内で会見を開き、使用済み食用油を原料にした国産SAF(持続可能な航空燃料)製造で協力する基本合意書を同日付で結んだと発表した。スシローと居酒屋「鮨 酒 肴 杉玉」から排出される油を使う。日揮HDが約200億円を投じ、大阪府堺市に大規模プラントを新設。早ければ令和6年中に製造を始める。

国内に展開するスシローと杉玉の9割以上に当たる計約680店舗から出る年間約90万リットルの廃食油をレボインターナショナルが回収する。コスモ石油大阪堺製油所(堺市)内に6年秋ごろ新設する工場へ運び、同年中から7年初頭にかけてサファイア・スカイ・エナジー(横浜市)がSAFの製造を始める。これにより年間約75万リットルを製造でき、二酸化炭素(CO2)の排出を年間約2千トン削減できるとしている。

製造したSAFは国内航空会社に提供される予定で、7年開催の大阪・関西万博に来場するインバウンド(訪日外国人客)などが乗る旅客機での活用を目指す。

廃食油で作ったSAF(日揮ホールディングス提供)
廃食油で作ったSAF(日揮ホールディングス提供)

SAFとは食材を揚げるのに使った油などを原料にした航空燃料で、木くずや藻類といった植物で作られるものもある。化石燃料と比べてCO2の排出量を約8割減らすことができ、環境負荷の観点から航空機に乗ることを避ける「飛び恥(フライトシェイム)」対策としても注目されている。世界で原料である廃食油の争奪戦が激化していて、日揮HDの西村勇毅・SAF事業ユニットプログラムマネージャーは「国内で排出されている年間50万トンのうち、12万トンがバイオ燃料向けに海外輸出されている」と話す。

政府が32年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を進める中、国土交通省は航空分野での脱炭素化を目指し、12年時点で国内航空会社による燃料使用量の10%をSAFに置き換える目標を設定している。(田村慶子)

会員限定記事会員サービス詳細