訪日外国人の訪問率3位だが平均宿泊数46位の千葉県、「素通り県」脱却を目指す
完了しました
新型コロナウイルスに伴う水際対策が緩和され、航空需要が回復するなか、千葉県はインバウンド(訪日外国人)の取り込みに知恵を絞っている。日本がインバウンドに沸いた数年前も成田空港から東京方面に向かう外国人旅行客が目立った県内。コロナ禍でいったんリセットされた現状を好機と捉えて団体バスツアーの支援などに力を入れ、“素通り県”からの脱却を目指している。(平田健人)

高層ビル群の一角にある日本庭園「見浜園」(千葉市美浜区)で1月末、台湾からの修学旅行生約30人が茶道に挑戦した。日本の高校2年生に相当する生徒らは

この修学旅行は、県からの助成を受けた旅行会社が企画した。県の訪日団体旅行向けの支援制度では、「県内で最低2泊」などの条件を満たせば、助成金が支給される。
2017年度からある制度だが、今年度は宿泊エリアに関する条件を緩和し、都心にアクセスしやすい千葉市や浦安市などに宿泊しても助成金を受けられる仕組みに改めた。このため、5泊6日の日程で訪日した生徒たちは、都内の人気スポットなどにも足を延ばしながら、幕張エリアのホテルに3泊した。
宿泊日数が延びれば、県内を巡る外国人旅行客も増えるというのが県の見立てで、実際のツアーの訪問先では、見浜園のほか、県南部の鴨川シーワールド(鴨川市)やマザー牧場(富津市)が人気になっているという。
県がこうした制度の利用促進や周知に力を注ぐのは、宿泊需要の取り込みが長年の課題となってきたためだ。観光庁の訪日外国人消費動向調査(19年)によると、千葉は都道府県別の訪問率で3位(35・1%)につけているものの、平均宿泊数は46位(0・8泊)にとどまる。観光客に限った統計ではないものの、滞在先として外国人に支持されていない現状が表れている。
県は海外への働きかけにも余念がない。昨年12月には県観光誘致促進課の職員が8泊9日で台湾に飛び、現地の旅行会社27社にセールス活動を展開。以降もタイやベトナムへの売り込みを続けている。同課の担当者は「台湾やタイの旅行会社からの問い合わせは増えており、最近ではイチゴ狩りなど具体的なスポットに関連するものも多くなっている」と、手応えを口にしている。