「沖縄北部新テーマパーク」の起工式が行われた7日、運営主体のジャパンエンターテイメント(JE)の加藤健史代表が本紙のインタビューに応じた。「テーマパーク事業は地方創生の手段の一つ」と説明し、パーク内の飲食店・物販店などで県産品や県産食材の活用、観光領域のマーケティング人材となる従業員育成など、事業で得られた利益を県内で循環させる目的も強調した。(政経部・川野百合子)

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 JEの株主のマーケティング会社「刀」は企業のブランド向上に加え、地方の持続可能な事業創出に取り組む。刀の取締役も務める加藤代表は「テーマパークには、経済波及効果が高かく、雇用創出能力も高いという特徴がある。それを生かそうという発想がある」と説明する。

 テーマパークの内容については、現時点では開示できないとしながら「沖縄の自然をパークの随所に取り入れた体験づくりを提供する」とする。「例えば都会に住む人が、システムから解放され人間らしく本能に刻むような体験ができる」パークを目指すという。

 コロナ禍前には、オーバーツーリズムの課題も指摘されてきた。波及効果が大きい分、周辺へのマイナスの影響も予想される。

 この点については「特に交通渋滞に関しては交通量調査を重ね、どういう問題があるかもおおよそ見えている。関係当局と一緒に改善すべく話し合いを重ねている」と話す。「需要予測を強みとする中で、予想できる未来にはしっかりと対応する」とも語った。

 人材育成にも力を入れる。将来的には、テーマパーク敷地内に宿泊施設を開業する構想などもある。物販や飲食、アクティビティーなど「複合ビジネスが学べる場」として、「観光を学びキャリア形成するなら沖縄で-というブランドをつくり、キャリア形成につながる場をつくっていきたい」と意気込む。

 県内の観光事業者のレベルアップにつながる人材輩出を目指し、名桜大学との連携に向けた協議も進めている。

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 一方で、「ザル経済」と呼ばれる構造を改善するために、利益を県内で循環させることも欠かせない。

 「出資した株主のうち県内企業がかなりの数を占める」とし、株主への配当や、仕入れ取引先や従業員への分配を挙げる。「従業員には労働力ではなくパークの魅力をつくるマーケター人材として活躍してもらいたい。最も消費者価値を引き上げた人材の給与が上がる人事制度を整える」とした。

 構想から5年。本格的に着工を迎え「開業に向け、4月から本格始動する。たくさんの人材がここで働きたいと思えるように準備していきたい」と話した。