英ロールス・ロイス、航空機向け水素エンジン試験に成功
【ロンドン=佐竹実】英ロールス・ロイスは28日、水素で航空機エンジンを動かす試験に世界で初めて成功したと発表した。風力と潮力発電で作られたグリーン水素を燃料としており、同社は「水素が将来のゼロカーボンの航空燃料になり得ることを示すための大きな一歩だ」としている。
試験は英格安航空会社(LCC)大手イージージェットと共同で、英国防省の施設内で行った。プロペラ機や軍用機などに使われるロールス・ロイス製AE2100-Aを改造したエンジンを、水素で動かした。両社は2回目の試験を計画しているほか、飛行試験を目指している。
二酸化炭素(CO2)を大量に排出する航空業界は、ネットゼロ(温暖化ガスの排出実質ゼロ)の目標達成に向けて水素や持続可能な航空燃料(SAF)を使うエンジンの開発を急いでいる。英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、欧州エアバスは超大型機「A380」で水素を使ったエンジンの飛行テストを計画している。
こうした動きには日本企業も参画している。三菱重工業は7月、CO2削減に向けて米ボーイングと協業すると発表した。SAFや水素燃料などの開発を進める。エアバスと川崎重工業は4月に、水素の調達やインフラ整備で連携することを表明している。