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二酸化炭素(CO2)を大幅に削減できる次世代航空燃料「SAF」の活用に向け、三菱地所とプラント大手の日揮ホールディングスが原料となる廃食油回収に相互協力することで基本合意したことがわかった。政府は2025年度にSAFを国産化する目標を掲げており、民間でも生産・活用に向けた動きが本格化する。
SAFは航空分野の脱炭素化に向けた切り札とされるが、原料の廃食油の確保が課題となっている。三菱地所は23年3月から保有物件に入居する飲食店と回収業者を仲介し、日揮が24年度にも稼働を見込むSAF工場に提供する。
三菱地所はJR東京駅周辺の丸の内エリアに23棟のビルを保有し、入居する約350の飲食店やオフィスの食堂などから出る廃食油は年150トン規模に上る。ここから精製できるSAFは約130キロ・リットルで、通常のジェット燃料に10%混ぜて使用すると、東京―伊丹(大阪)間を105往復できる計算。23年度以降は対象を全国に拡大し、静岡や新千歳など同社が運営に携わる10空港でも回収する。
SAFを巡っては、政府が国産化を目指し航空会社や石油会社などと官民協議会を設けた。30年までに国内航空会社の燃料の10%をSAFにする目標を掲げている。
◆ SAF =Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)の略。使用済み食用油(廃食油)や一般ごみ、藻などを原料とする。原油由来のジェット燃料に比べてCO2の排出量を6~8割削減できるとされる。通常は燃料に混ぜて使う。