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韓国へのビザなし観光全面再開、円安でも手頃感で人気-コロナで中断

  • ウォンもドルに対し目減りし、デメリットが出にくい旅行先に-識者
  • 全日空は増便で対応、格安航空では11月以降で既に満席の便も
ソウルの繁華街・明洞
ソウルの繁華街・明洞 Photographer: Emily Yamamoto/Bloomberg

韓国政府が日本など8つの国と地域に対し、新型コロナウイルス感染症対策などの理由で2年以上停止していたビザなしでの観光目的の渡航を1日に全面再開してから2週間が過ぎた。円安傾向の中でもお手ごろ感があり、旅行代理店では最も人気が高い海外旅行先となり国内航空会社は増便を決めるなど、往来が活発化している。

  海外旅行予約サイトを運営するエイチ・アイ・エス(HIS)によると、コロナ禍ではハワイ旅行の人気が最も高かったが、韓国政府の渡航規制緩和の発表が10月にあってから足元までの期間は、韓国を目的地とする旅行予約がトップに躍り出た。土日など休日を中心に、11月以降は予約が殺到して航空券が取りづらい日も出てきているという。

  SBI証券でレジャー業界を分析する田中俊アナリストは、円安とインフレなどの影響で「海外旅行自体はハードルが高くなっている」と指摘する。そうした中でも、欧米に比べ韓国はウォンもドルに対して安くなっているため、「円安デメリットが出にくい」旅行先として人気を集めていると分析する。

円安に対してウォンも相対的に目減り
 
 

  韓国は2020年の新型コロナの感染拡大以降、日本などに渡航制限を設けてきた。今年8月から日本を含む3つの国・地域を対象にビザなし渡航を1カ月間の期間限定で再開。その後10月末までの期間延長を経て、この度、対象のエリアを広げて全面的な再開へとつながった。

  直近ではハロウィーンのイベントで多くの若者が犠牲となったソウル・梨泰院(イテウォン)の雑踏事故が起きたものの、旅行人気に変わりはないとHISの広報担当は話す。

  航空会社の増便も往来活発化の一助となっている。日本航空(JAL)は10月30日から東京(羽田)ーソウル(金浦)間を毎日2便(2往復)運航に増便したほか、ANAホールディングス傘下の全日本空輸(ANA)も16日から2往復に増便する予定だ。またANAHD傘下の格安航空のピーチ・アビエーションは10月30日から東京(羽田)-ソウル(仁川)間のフライトを再開。11月以降では満席となっている日もすでに出ているという。

韓国のインバウンド消費盛り上げ

  韓国政府の調べによると、21年の日本からの観光客の1日当たりの平均消費額は149.7ドル(約2万1000円)で20年比で47%増えた。ビザなし観光の再開により、韓国でのインバウンド消費がさらなる盛り上がりを見せ始めている。

  韓国のCJグループが運営するヘルス&ビューティケアの専門店「オリーブヤング」の担当者によると、「Kビューティー(韓国コスメ)を求めて店舗を訪れる外国人顧客の数が急増」しており、特にソウル随一の繁華街である明洞(ミョンドン)の商業地区が顕著で店舗では外国語ができるスタッフの採用や、店舗アナウンスの多言語対応を準備しているという。

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