任天堂とカプコンの直営店、大阪に 取り戻せ訪日客

任天堂の直営店とカプコンのアンテナショップ、カフェが11日、大丸梅田店(大阪市北区)で同時にオープンする。ともに自社のゲームに絡んだオリジナルグッズなどを販売する。両社のゲームは海外での人気が高く、新型コロナウイルス禍で〝消滅〟したインバウンド(訪日外国人観光客)を関西へ引き戻す武器になることが期待される。

任天堂の「Nintendo OSAKA(ニンテンドー オオサカ)」は、令和元年にオープンした「ニンテンドー トウキョウ」(東京都渋谷区)に続き2店目の国内直営店で関西初。開業に先立つ10日、報道陣に公開された。

ニンテンドー オオサカでは任天堂のゲーム機本体やソフトだけでなく、「ゼルダの伝説」「スプラトゥーン」といった人気ゲームの関連グッズなど2千点以上を販売。

「ニンテンドー オオサカ」の中=10日午前、大阪市北区の大丸梅田店(南雲都撮影)
「ニンテンドー オオサカ」の中=10日午前、大阪市北区の大丸梅田店(南雲都撮影)

売り場面積はニンテンドー トウキョウの2倍以上の約800平方メートルで、55型の液晶モニターを9枚つなげた大型スクリーンを設置。ゲームの体験会などのイベント開催や情報発信拠点としても活用する。

任天堂は顧客との接点強化の取り組みに最大3千億円を投資する方針を示しており、直営店の拡大もその一環となる。10日午前10時からのプレオープンには、抽選で当選した約2千人が続々と来店。大阪府守口市の会社員、大西優輝さん(31)は「通販で売り切れになっているグッズが買えてうれしい。今日だけで3万円以上使ったと思う。毎月来ます」と笑顔だった。

11日オープンのカプコンのアンテナショップにある、「モンスターハンター」のフォトスポット=10日、大阪市北区の大丸梅田店(南雲都撮影)
11日オープンのカプコンのアンテナショップにある、「モンスターハンター」のフォトスポット=10日、大阪市北区の大丸梅田店(南雲都撮影)

また、カプコンも11日、大丸梅田店の同じフロアに「カプコンストア&カフェ ウメダ」をオープンする。カプコンのキャラクターグッズを扱うアンテナショップと人気ゲームをテーマにしたメニューが楽しめるカフェを併設。カフェは関西初出店となる。

アンテナショップではインバウンドをとくに意識し、海外で人気が高い「バイオハザード」や「モンスターハンター」シリーズのグッズを中心に取りそろえる。カフェは期間限定でさまざまなコンテンツとのコラボメニューを提供予定で、12月中旬までは6月発売の「モンスターハンターライズ:サンブレイク」とのコラボを実施。同社の担当者は「水際対策が緩和されたこのタイミングで、インバウンドの需要をつかみたい」と意気込む。


近畿運輸局によると、観光のほかビジネス目的なども含んだ近畿への外国人入国者数は、令和3年に4万1121人。コロナ禍前の元年の841万6368人の200分の1以下にまで落ち込んだ。4年7月には1カ月間で2万5189人まで回復したが、コロナ禍前の水準までは回復していない。

一方、任天堂やカプコンのゲームなどは海外でも人気が高い。任天堂の4年9月中間連結決算では、売上高に占める海外の比率が約8割に上る。カプコンも、ゲームソフトの約8割を海外で売り上げている。

10月には政府の水際対策が緩和されたが、両社の直営店などが魅力的な観光スポットとして、インバウンド回復を後押ししそうだ。(桑島浩任)

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