神戸観光局、自前の誘客策に手応え 企画からツアー実施まで 有償で参加100人超

2022.11.07 00:00

人気ツアーの1つがムスリムモスクなど世界の教会・寺院を巡る街歩き。旅行業登録を行う観光局が実施まで担う

 地域DMOの神戸観光局がコロナ禍のさなかに立ち上げた誘客プロモーションが3年目を迎え、軌道に乗っている。企画から集客、ツアーの造成・実施までほぼ自前で手掛ける「神戸で海外旅行」がそれだ。海外に自由に出かけられない時期の消費者マインドを捉え、異国情緒あふれる神戸の魅力を訴求して旅行者を呼び込んだ。広告代理店など外部事業者に頼らないDMO主導の施策は、コスト抑制のほか、訪日市場回復への基盤強化につながっている。

 神戸観光の楽しみ方をウェブやSNS、ツアーなど複数の企画を通じて提案する。1年目は特設ウェブページ開設とインスタグラムキャンペーンのみだったが、昨年から着地型ツアーを始め、22年はスタンプラリーを加えた。

 打ち出したのは新たな一面だ。世界各国にルーツを持つ在住外国人や由縁のある物の豊富さに着目。定番観光の異人館街ではムスリムの寺院などに焦点を当てた。神戸は日帰り客が多く、来訪目的は神戸牛などに偏るため、滞在を促す新たな要素が求められている。

 ツアーは21年に6コースを各6000~9000円で販売したところ101人を集め、約73万円を売り上げた。今年は11月上旬から実施する。観光部の山崎敬永氏(情報発信・インバウンド担当)は「集客は前年を上回る見通し」という。参加者の声から内容を磨いてコースを増やし、料金は2000円抑えた。ツアーの経費は売り上げで相殺できるため、事業費はプレゼントキャンペーンの景品とわずか。その分、告知に投入できる。

 外国人コミュニティーとの関係ができ、訪日客の隠れたニーズに気付かされたという。訪日旅行再開を受け、ムスリム向けのガイドブックを作成中で、内容に反映していく。

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