白浜空港・国際線ターミナル完成1年 開業めどたたず

建物完成から1年近くたっても開業できていない国際線ターミナル=和歌山県白浜町の南紀白浜空港
建物完成から1年近くたっても開業できていない国際線ターミナル=和歌山県白浜町の南紀白浜空港

東京の羽田空港とを結ぶ南紀白浜空港(和歌山県白浜町)で、海外からのチャーター便などに対応できる国際線ターミナルが完成して11月で1年。開業時期は当初、昨年秋ごろを目指したが、いまだにめどがたっていない。政府の新型コロナウイルスの水際対策は今月、入国者数の上限がなくなり、インバウンド(訪日外国人客)需要への期待が膨らんでおり、各地方空港の国際線再開も進む見通しで、県は「まず部分的にでもオープンさせたい」としている。

 国際線ターミナルは規制線が設けられている=和歌山県白浜町の南紀白浜空港
国際線ターミナルは規制線が設けられている=和歌山県白浜町の南紀白浜空港

南紀白浜空港での国際チャーター便は平成8年3月に開始。韓国や中国、台湾などの便が計134便があったが、30年1月の韓国便が最後で、この後運航していない。

これまでのチャーター便は羽田空港とを結ぶ定期便の合間に、既存ターミナルでCIQ(税関・出入国管理・検疫)の場所を設けて対応してきた。

しかし不便なため、県はCIQを備えた国際線ターミナル建設を計画。コロナ禍後を見据え、航空需要が低迷していた令和2年6月に着工。3年11月11日に2階建ての建物(延べ床面積約3800平方メートル)が完成した。

当初、3年秋ごろの開業を目指していたが遅れ、新型コロナの第6波が到来。開業は先延ばしになり、一時、今春を目指したものの、それも実現できなかった。2階のレストランと物販施設の運営業者は採算見通しが不透明なため、決まらないままになっている。

今月11日からは、政府が水際対策を大幅に緩和し、入国者数の上限撤廃や個人旅行解禁、ビザ免除の再開に踏み切った。また各地の空港も準備が整い次第、順次国際線を再開する方針を示しており、地方空港でも国際線復活への期待が高まっている。

県港湾空港振興課の担当者は「国際チャーター便が認められれば、すぐにでも運航したい」とし、「ほかの地方空港に後れをとらないよう国際線ターミナルを部分的にでも開業したい」と話す。国際チャーター便の誘致には時間がかかることから、まず国際線ターミナルで国内線のチャーター便を受け入れることも検討している。

南紀白浜空港の国際線ターミナルは、既存ターミナルとつながっているが、規制線が設けられており、現在、使っているのは白浜警察署の白浜空港警備派出所のみ。1階にはレンタカー手配やホテルの紹介などを担う総合案内窓口のカウンターが設置されている。同課の担当者は「国際チャーター便の準備を進めるためにも、総合案内窓口だけでも先にオープンさせたい」としている。

県は空港を運営する南紀白浜エアポートと開業時期について協議。国際チャーター便の運航のほか、将来は国際定期便誘致を目指している。(張英壽)

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