伊藤忠、関西空港と中部空港に低炭素燃料供給へ
伊藤忠商事は13日、低炭素燃料として注目される持続可能な航空燃料(SAF)を2023年度前半までに、中部国際空港と関西国際空港で提供する体制を築くと発表した。SAF製造世界最大手のフィンランド・ネステと提携し、羽田空港と成田空港で供給している。4空港は日本で燃料供給の約8割を占めており、供給網を広げる。
同日開催したメディア向けの事業説明会で明らかにした。中部国際空港と22年度に、関空と23年度前半に空港の利用契約などを結ぶ。ネステの工場で生産したSAFを配合した燃料をタンカーで輸入し、空港内で旅客機や貨物機に供給できるようにする。
国連傘下の国際民間航空機関(ICAO)は、国際線の航空機の二酸化炭素(CO2)排出量を24年以降は19年の85%に抑えることを決議している。日本政府は30年時点で航空燃料の10%をSAFに転換する目標を掲げており、国内外の航空会社でSAFの需要が高まる見込み。
伊藤忠は20年にネステと提携して全日本空輸(ANA)の飛行機にSAFを納入し始めたほか、22年5月にはアラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空とも供給契約を締結した。年1万トン程度を供給している。
ネステは年10万トン程度のSAF生産能力があり、世界の半分を占めるとされる。シンガポールやオランダの工場を拡張するなどし、26年に220万トン規模に増やす計画を立てている。