最高価格は170万円 リニューアルした「ななつ星」 15日から運行

リニューアルして運行を開始する「ななつ星in九州」
リニューアルして運行を開始する「ななつ星in九州」

JR九州は12日、九州を周遊する豪華寝台列車「ななつ星in九州」のリニューアル車両を報道関係者に公開した。本格的なお茶が楽しめる茶室などを新設したほか、客室数を14室から10室に減らした。最高価格は鉄道の旅としては国内トップクラスの1人170万円で、15日から運行を始める。JR九州はクルーズトレインのフロントランナーとしてより上質な旅を追求し、ブランド維持を図る。

リニューアルでは食事スペースだった2号車を乗客が交流できるサロンや、クルーらがたてたお茶を楽しめる茶室に改造し、食堂車の機能を1号車に集約。客室だった3号車に九州の工芸品を販売するギャラリーショップやバーラウンジを新設した。ラウンジではバーテンダーがそれぞれの客に応じた酒を提供する。

「ななつ星in九州」の2号車に設けられたサロン
「ななつ星in九州」の2号車に設けられたサロン

より乗客のニーズに応じた旅程、サービスを提供するため、定員を従来の14室30人から10室20人に減らし、料金も値上げする。部屋のランクによって変わるが、2人1室利用で1泊2日のコースは1人当たり65万~90万円。3泊4日は115万~170万円。これまでの最高価格は107万円だった。

車両の改造は平成25年10月の運行開始以来初めて。コースも刷新し、宮崎、鹿児島両県にまたがる霧島連山周辺や、長崎の雲仙を経由したりする旅程を設定した。旅館や観光地を訪問するためのバスも席数を減らすなど改装した。

茶室も設けるなど新たな話題発信も欠かさない
茶室も設けるなど新たな話題発信も欠かさない

この日の記者会見で福永嘉之常務は「クルーズトレインのパイオニアの誇りと責任を持って、日本を元気にするよう走らせたい」と述べた。デザインを手がけたデザイナーの水戸岡鋭治氏は「世界の一流のホテルに負けない、心と体で感じる時間と空間を提供する。感動体験に出会えると信じている」と語った。

ななつ星は15日に9周年を迎える。きめ細かいサービスや沿線住民との交流で人気は高く、米有力旅行誌「コンデナスト・トラベラー」の読者投票では今年まで2年連続で、列車部門の1位に選ばれた。

運行から数年は平均予約倍率が30倍超にも達したが、近年は数倍程度と落ち着いている。JR東日本や西日本が同様に豪華列車を投入する中でも堅調を維持し、空室が生まれることはなかったが、集客力の維持にはリピーターの獲得や新たな話題の発信が不可欠。古宮洋二社長は9月の定例記者会見で「(リニューアルで)よりお客さまと接する時間が取れる。絶えず努力し、値段にふさわしいおもてなしを今後もやっていきたい」と語った。(一居真由子)

会員限定記事会員サービス詳細