デルタ航空、新興企業に87億円出資 空飛ぶタクシー開発
【ニューヨーク=弓真名】米航空大手のデルタ航空は11日、「空飛ぶタクシー」で知られる電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発を手掛ける米スタートアップのジョビー・アビエーションに6000万ドル(約87億円)を出資すると発表した。米国で電動航空機の開発競争が激化するなか、米大手航空各社で出資や機体注文への動きが広がっている。
デルタは開発と実用化にむけた進捗状況をみた上で、最大で2億ドルを投じる方針。実用化すれば、米東部ニューヨーク市と西部カリフォルニア州ロサンゼルス市でデルタの顧客を対象に空港と市内を結ぶサービスを提供するという。
eVTOLは、都市部の人口密度を緩和したり二酸化炭素の排出量を減らしたりする新たな交通手段として注目されている。欧州の航空機大手エアバスのほか、新興企業のドイツのリリウム、日本のテトラ・アビエーションなどが開発に乗り出しており、フランスの調査会社はeVTOLの市場規模が2026年にかけて年平均23%拡大すると予想している。
米国では7月にアメリカン航空が英バーティカル・エアロスペースから最大250機のeVTOLを購入すると発表した。ユナイテッド航空は9月にブラジル旅客機大手エンブラエルの子会社、イブ・アーバン・エア・モビリティー・ソリューションズに200機を発注した上で1500万ドルの出資を発表するなど、航空業界でeVTOLの実用化に向けた動きが広まっている。
ジョビー・アビエーションは、09年にカリフォルニア州で創業した新興企業。20年にトヨタ自動車から3.9億ドルの出資をうけ、同社との協業も発表した。今年5月末にはeVTOLを全米で運航するために必要な3つの認可のうち1つを取得するなど、米国で実用化に近いと見られている。