「将来への投資」 海外修学旅行先トップの台湾 コロナ禍でも冷めない熱意

横浜市役所1階で開催している「台湾ウィークin横浜2022」=5日、横浜市中区(橋本愛撮影)
横浜市役所1階で開催している「台湾ウィークin横浜2022」=5日、横浜市中区(橋本愛撮影)

海外修学旅行は送り出す側、迎える側の双方にとって将来につながる〝投資〟―。社会活動などのグローバル化を背景に盛んにおこなわれてきた海外修学旅行で旅行先として飛躍的に件数を伸ばしてきたのが台湾だ。新型コロナウイルスの影響で厳しい状況が続いているが、学生の貴重な学びとなるだけでなく、日台の絆を強める貴重な場となるため、アフターコロナを見据えたセミナーが開かれるなど関係者の熱意は冷めていない。

5日午前11時ごろ、横浜市役所の1階のアトリウムで開催中の台湾料理や民芸品の販売などのイベント「台湾ウィークin横浜2022」(日本横浜台湾商会主催)には約30のブースが並び、多くの人々でにぎわっていた。

コロナ禍で旅行が難しい状況でも台湾の魅力を感じてもらおうと企画され、今回で2回目となる。中華航空(チャイナエアライン)もブースを構えてパンフレットを配布しており、コロナに伴う制限の緩和が進む中で「また多くの人に来てもらいたい」(中華航空担当者)と期待は高まる。

台湾は海外の文化、歴史などを学ぶ海外修学旅行でも高い人気を誇ってきた。全国修学旅行研究協会の全国調査によると、コロナ禍前の令和元年度に海外修学旅行を実施した高校延べ1228校のうち台湾を選んだのは334校に上り、訪問先として6年連続で1位となった。県内でも平成26年度にトップに躍り出て、それ以降は29年度を除いて1位の座を守ってきた。

台湾観光局の担当者は23年3月の東日本大震災の際に台湾から義援金とメッセージが送られ、日台間の友好感情が高まったことが人気の要因になったと分析。修学旅行が初めての海外経験となる学生も多いからこそ、安心して楽しみ、学べる環境であることが重要なポイントになっているといえそうだ。

さらに、担当者は英語教育に力を入れる台湾では流暢な英語を話す学生も多く、世界的に使用されている中国語・英語という2つの言語に触れられるということも修学旅行先としての魅力につながっているとの見方も示す。滞在先として中正紀念堂などの観光地が集まる首都・台北市を選ぶ学校も多いが、近年は中南部まで足を伸ばす学校も増えていたという。

修学旅行は迎える側にとっても貴重な場となる。台湾観光局の担当者は「学生が大人になってからまた台湾に行きたいと思ってもらえたり、子供と一緒に訪れたりしてくれれば、友情が深まる」と期待。将来につながる〝投資〟と重視してコロナ禍でも年に数回は日本の教育関係者や観光会社向けにセミナーを実施しており、日本側はコロナ禍前と同様の高い関心を示しているという。

海外修学旅行の人気が高まってきたのは、学生が得られる経験の意義を教育現場が感じているからといえるだろう。学びの多い海外修学旅行の本格的な再開に向けた今後の動きを見守りたい。(橋本愛)

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