星野リゾート、大阪で「リゾナーレ」など2ホテル開業へ コロナ後見据え

新規事業について話す星野リゾート・星野佳路代表=14日午前、大阪市住之江区(渡辺大樹撮影)
新規事業について話す星野リゾート・星野佳路代表=14日午前、大阪市住之江区(渡辺大樹撮影)

星野リゾート(長野県軽井沢町)は14日、今冬新たに2軒のホテルを大阪府内で開業すると発表した。大阪では、令和7年の大阪・関西万博の開催などに期待して、外資系を中心にホテル開発が続いている。客室の供給過剰を危ぶむ声もあるが、星野リゾートでは、先駆的な乳幼児教育法を取り入れた体験を提供するなど、差別化を図る。星野佳路(よしはる)代表は「挑戦したい」と意気込んだ。

新たに開業するホテルのうち1軒は沖縄を除く西日本初進出となるリゾートホテル「リゾナーレ」で、12月16日に開業する。星野リゾートの子会社が運営する大阪市住之江区の「ハイアットリージェンシー大阪」の一部を改装し、2つの異なるブランドのホテルを持つ施設とする。

大阪市内で会見した星野代表は「大阪は新型コロナウイルス禍の中でもホテルが増え、競争が厳しくなっている」と述べたが、「星野リゾート リゾナーレ大阪」について「(2ブランドが共存する)コラボレーションホテルで挑戦したい」と説明した。

大阪では、大阪・関西万博や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致などに期待したホテル開発が続いてきた。米マリオット・インターナショナルや米ヒルトンなど外資系も万博開催までの開業を目指している。一方で、客室の供給過多も危惧されている。観光マーケティングを専門に研究する近畿大学経営学部の高橋一夫教授は「課題はコロナ後に出張需要が元に戻らず、宿泊客の2~3割が減ると見られていること。インバウンド(訪日外国人客)も含め、平日の宿泊をどんな需要で埋めるかが生き残りのカギとなる」と指摘する。

そこで星野リゾートが新規出店するリゾナーレでは「レッジョ・エミリア・アプローチ」と呼ばれるイタリア発祥の先進的な乳幼児教育の手法を活かし、創造力を育む体験を提供する。新ホテルの客室数は全64室。最上28階に芸術の専門家が子供らの創作をサポートする専用の「アトリエ」を設ける。

「星野リゾート リゾナーレ大阪」のアトリエの体験イメージ(星野リゾート提供)
「星野リゾート リゾナーレ大阪」のアトリエの体験イメージ(星野リゾート提供)

北海道や山梨などで5軒を展開する「リゾナーレ」は6歳以下の子供連れが主な宿泊客となっており、平日利用も多く、ハイアットリージェンシー大阪と連携し、足元で5割を下回る客室稼働の押し上げにつなげたい考えだ。

また、早ければ来年1月にも関西国際空港近くのりんくうタウン駅から徒歩1分ほどの場所に都市観光ホテル「OMO(おも)関西空港 by 星野リゾート」(大阪府泉佐野市)を出店する。もともとはWBFホテル&リゾーツ(大阪市)が令和2年10月に開業する予定だったが、コロナ禍で経営破綻し、星野リゾートが再建支援している。全700室を擁し、大浴場やサウナなどもある。コロナ後にはインバウンド(訪日外国人客)を呼び込む拠点としてアピールしたい考えだ。

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