「ニューヨーカーの安全を守るため」米NY州で新たな銃規制 繁華街や公共機関などで携行禁止

2022年9月3日 10時35分
米ニューヨークで8月31日、繁華街タイムズスクエア周辺に張り出された銃持ち込み禁止を示す掲示=AP

米ニューヨークで8月31日、繁華街タイムズスクエア周辺に張り出された銃持ち込み禁止を示す掲示=AP

 【ニューヨーク=杉藤貴浩】米東部ニューヨーク州で1日、繁華街や公共機関への銃の持ち込みを禁止する州法が発効した。連邦最高裁が6月に同州の規制を違憲とし、銃の携行緩和につながる判決を出したことに対抗する措置。銃規制は11月の中間選挙の争点になっており、カリフォルニアなど他州でも最高裁判決への対抗策を探る動きが相次いでいる。
 ニューヨーク州で発効した規制は、ニューヨーク市の繁華街タイムズスクエアや学校、病院、政府機関、バーなどへの銃の持ち込みを禁じる内容だ。これまで同州は公共の場での銃携行に免許取得の義務を課していたが、最高裁が国民の武器を持つ権利を定めた「憲法修正第2条」を侵害しているとして違憲判決を出した。今回は市民が密集する場所を具体的に明示し、あらためて制限した。
 同州のホークル知事は先月31日の会見で「ニューヨーカーの安全を守るため迅速な行動をとった」と自賛。新たな規制では、銃携行の申請者は16時間の安全講習と2時間の実技演習も義務付けられる。
 米国では5月、テキサス州の小学校で児童ら21人が殺害された乱射事件などで銃規制を求める声が高まり、中間選挙に向け規制慎重派との間で論争が続く。規制を推進する民主党のバイデン大統領は先月30日「私は攻撃力の高い武器を禁止することを決めた」と述べ、2004年に共和党政権下で失効した規制の復活を目指している。
 6月の最高裁判決に対しては、カリフォルニア州で7月、違法な銃を製造・販売した人物を市民が提訴できる州法が成立するなど、リベラル色の強い州で対抗措置が広がっている。
 同州でも、ニューヨークと同じく公共の場での銃携行を禁止する法案が審議されたが、今月1日に州議会が僅差で否決。推進派は次期会期での成立を目指す。マサチューセッツ州は銃許可申請者に当局者との面接を求める規制を導入する。

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