マカオタワーと対岸のタイパ地区(2022年8月に筆者撮影、以下の写真も同じ)

(加藤勇樹:中国広東省在住コンサルタント)

 マカオ(澳門)は、ラスベガスと並ぶ巨大なカジノ産業を擁するほか、ポルトガル統治時代の文化を感じさせる観光都市です。2022年8月22日、中国本土在住の外国人が入境できるようになったので、さっそく訪問しました。コロナ禍で大打撃を受けたマカオのいまの姿をお伝えします。

中国本土からの観光客を原動力に発展

 マカオ特別行政区は、中国の南部、広東省珠海市に隣接しています。人口は約70万人、面積は約30km2で、東京都杉並区と同じくらいの大きさです。

 珠江の河口を挟んだ東には香港があり、全長約50kmの港珠澳大橋で結ばれています。香港に比べると、マカオに進出している日本企業や日本人の居住者はだいぶ少数です。日本のみなさんには香港よりなじみが薄いかもしれませんので、マカオの概要にも少し触れておきましょう。

 マカオが現在のような発展を遂げたのは、16世紀ごろからヨーロッパ世界との貿易港だったことと、中国本土では禁止されているカジノを中心とするレジャー産業のおかげといえるでしょう。

 ポルトガルの植民地だったマカオは1999年、中国に復帰し、その後の20年間でGDP(国内総生産)は約7.5倍以上という大きな成長を遂げました。2018年の一人当たりGDPは約8.4万USドルで、これは世界第2位です。また、1999年に7%に迫っていた失業率は、20年間で1%近くまで減少しました。

 この急成長の原動力は、中国本土からの観光客による消費と言って間違いないでしょう。さらにマカオ政府はカジノ産業への国外資本参入の認可、ポルトガル語使用国や地域との連携強化など、国外へのPRも進めてきました。

 隣接する広東省珠海市も、世界最大の水上遊園地を建設したり、過ごしやすい街づくりなどを進めています。レジャーを中心とした地域づくりは、この地域の開発計画のかなめといえるでしょう。

マカオと珠海市との間のイミグレーション(口岸)の一つである洪北口岸。マカオへ行く観光客のほか、マカオからの日常品の買い物客も多い