都民割が再開、ホテルなど即日完売も 「県民割」も好調
東京都が1日、都民の都内旅行を補助する「もっとTokyo」(都民割)を再開した。都内のホテルや観光サービスも対応プランを売り出し、即日完売する事例もあった。多くの道府県が9月末まで延長した旅行支援策「県民割」の予約も好調だ。新型コロナウイルス「第7波」の新規感染者数に頭打ちの傾向も見られるなか、「ウィズコロナ」が加速している。
都民割は1人1泊あたり5000円を助成し、18歳までの子どもは補助額を1000円上乗せする。ワクチンの3回目接種完了、または検査での陰性確認が利用条件となる。計30万泊分を宿泊、旅行事業者に割り当てる。
都は6月から7月末にかけて都民割を実施したが、感染拡大で中断していた。1日正午に予約の受け付けが再開されると、旅行会社やホテルのウェブサイトにはアクセスが集中し、一部ではつながりにくい状態となった。新宿ワシントンホテル(東京・新宿)では予約が集中し、再開から1時間程度で完売となる日が複数あった。
都民割の再開に合わせ、宿泊施設は新プランを打ち出して誘客を図っている。西武・プリンスホテルズワールドワイド(東京・豊島)は「プリンスホテル」など都内9ホテルで、都の助成に加え、ホテル敷地内のレストランや水族館などで使える5000円分の利用券をサービスするプランを1日に発売した。担当者は「前回は初日でほぼ完売した。今回も期待している都民は多い」と期待する。
都民割では日帰りツアーも助成対象となる。はとバス(東京・大田)は1日、対象となるバスツアー8種の受け付けを始めた。同社によると、6~7月には東京湾クルーズなどを組み込んだ3種を用意したが、9月の再開に合わせて新たなコースを追加した。「夏休み後ではあるが9月は3連休も2回あり、多くの人に利用してほしい」としている。
県民割は8月末が期限だったが、観光庁が9月30日宿泊分まで延長することを決めた。1人1泊5000円を上限に旅行代金を割り引く。多くの地域で、割引対象を近隣県に広げた「ブロック割」が適用される。県民割を全国に広げる「全国旅行支援」は先送りされたが、近隣旅行の需要喚起策は継続している。
秋の観光シーズンが迫り、県民割の延長効果も表れている。首都圏の観光客に人気のある石川・金沢では、ANAクラウンプラザホテル金沢が延長決定後の数日間で、8月の県民割の予約数の3割以上を受け付けた。ホテル日航金沢も、県民割と金沢市独自の宿泊割引サービスを併用できるプランを扱っており「県民割の延長は追い風だ」(担当者)。
全国の感染者数はピーク時から減少傾向が見られる。
厚生労働省のオープンデータによると、全国の1日あたり新規感染者数(7日間平均)は帰省や旅行で人の動きが活発だったお盆明けの8月23日に約22万9000人に達した。同28日に20万人を割り込み、10万人台が続いている。
学校が新学期を迎え、感染再拡大のリスクはあるものの、厚労省の専門家組織「アドバイザリーボード」は31日、全国の新規感染者数について「全年代で減少に転じている」との見解を示している。
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