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ANAHDとJAL、4-6月の損益水準が改善-旅客需要回復

更新日時
  • ANAは19年10-12月期以来の純利益計上、元々は赤字想定-CFO
  • 外国人観光客受け入れ再開も鈍い戻り、コロナ感染「第7波」影響も

ANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)は1日、旅客需要の回復に伴い4-6月期(第1四半期)の損益水準が前年同期比で大幅に改善したと明らかにした。

  ANAHDの第1四半期営業損益は13億円の赤字(前年同期は646億円の赤字)で純損益は前年同期の512億円の赤字から10億円の黒字に転換した。

  JALの同四半期の純損益は196億円の赤字(前年同期は579億円の赤字)だった。両社とも黒字転換を見込む今期(2023年3月期)の利益予想額はそれぞれ据え置いた。

ANAHDの第1四半期業績JALの第1四半期業績
  • 売上高:前年同期比76%増の3504億円(市場予想3474億円)
  • 営業損益:13億円の赤字(市場予想148億円の赤字)
  • 純損益:10億円の黒字(市場予想190億円の赤字)
  • 売上高:前年同期比約2倍の2689億円(市場予想2478億円)
  • 純損益:196億円の赤字(市場予想190億円の赤字)

  ANAHDの中堀公博グループ最高財務責任者(CFO)は同日の決算会見で、純損益では19年度の第3四半期(19年10-12月期)以来の黒字となったが「元々はコロナ禍からの需要回復局面であったので赤字を想定していた」と明らかにした。これまでの事業構造改革の成果などが寄与したとした上で、「通期の業績予想の達成に向けて非常に順調なスタートが切れた」と語った。

  日本はコロナ禍で停止していた外国人観光客の受け入れを6月から再開したが、旅行条件の厳しさなどから戻りは鈍い。また、コロナ感染「第7波」の広がりに伴い東京都など各地でコロナ感染者が過去最多を更新しており、頼みの綱である国内線の先行きにも不透明感が漂う。

「第7波」で感染者急増
 
 

  JALの菊山英樹専務は会見で、合理的・科学的な感染対策を行うことを前提とした上で、「経済活動の活性化は先進国並みに実施していくよう従来から要望している」として、入国者数の上限引き上げといった水際対策の緩和が重要との考えを示した。足元の円安はインバウンド需要獲得に向け「間違いなくチャンス」としたものの、そういった需要取り込みにはビザ要件の緩和が必要とした。

  ANAHDの中堀氏によると、同社の7-8月の旅客見通しは国際線がコロナ前の水準の3割強と想定をやや上回る見通しとなっている。一方、同期間の国内旅客はコロナ前との比較で70%前後まで回復するが、同80%としていた想定を下回る見込みだという。

  北米では旅客需要が急速に回復しており、米国航空大手3社の4-6月期営業損益は黒字転換している。国際航空運送協会 (IATA)の6月の予測によると、業界全体では22年は97億ドル(約1兆2800億円)の赤字になるものの、来年には黒字回復する見通しとなっている。

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