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オンラインツアーやSNSで魅力発信、DXで島おこしの実証実験始まる…能古島

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キャンプ村のビーチを視察するメンバー(6月25日、福岡市西区・能古島で)
キャンプ村のビーチを視察するメンバー(6月25日、福岡市西区・能古島で)

 博多湾に浮かぶ福岡市西区の 能古島のこのしま で、DX(デジタルトランスフォーメーション)による島おこしの実証実験が始まった。SNSでの情報発信などデジタル技術に精通した島外のフリーランス約50人が知恵を出し合い、12月までにオンラインツアーやホームページの製作などを計画。島の魅力を発信し、来島者の増加を目指す。(池園昌隆)

 島には、季節の花を楽しめる自然公園「のこのしまアイランドパーク」やキャンプ村がある。自然公園だけで年間約16万人が訪れていたが、新型コロナウイルスの影響で昨年は約8万人に半減した。人口はこの10年で100人ほど減って約660人。地域浮揚策は喫緊の課題となっている。

 実証実験を手がけているのは、人材仲介会社「ランサーズ」(東京)。各地のフリーランスに活躍の場を与え、DXによる地方の中小企業の収支改善などに取り組んできた。「デジタル技術を島の活性化に役立てたい」と、同社から提案を受けた福岡市も賛同し、実証実験を周知・広報したり、住民を紹介したりしている。

 実証実験は6月から始まり、その手始めに、プロジェクトリーダーを務める下方聖司さん(40)(和歌山県岩出市)ら7人が25日、海岸沿いのキャンプ村など島内を視察し、翌26日に公民館で住民との座談会を開いた。自然や景観などの魅力を伝え、「うまく発信して認知度を高めれば、来島者は増える」と提案した。

 住民にも配慮した観光振興策に取り組むことを決め、インターネット会議で具体的な取り組みの検討を重ねている。7月末にはビーチの清掃イベントを実施する。島の景観を遠隔地からでも楽しめるオンラインツアーのほか、クラウドファンディングで寄付を呼びかけて、老朽化が進むビーチのイベントステージや遊具の改修費などに充てる計画もある。取り組みの成果は12月中旬、住民らに報告する。

 住民の間には「誰にでも来てほしいというわけではない」との声もある。観光客が水上バイクで危険な運転をしたり、酒に酔って騒いだりする事例があるためだ。能古校区自治協議会の岩下修会長(79)は「そっとしておいてほしいという住民もいるが、このままではじり貧だという気持ちを多くの人が持っている。島がどう変わるのか、期待半分、不安半分だ」と明かす。

 下方さんは「住民の皆さんに良い変化を実感してもらえるよう丁寧に取り組んでいきたい」と話している。

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