VIVA STUDENT
海外教育旅行メールマガジン 9月号
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マレーシア政府観光局 海外教育旅行を成功させるための提案

ケーススタディ<京都市立堀川高等学校>

【さまざまな素材の宝庫マレーシアは探究フィールドワークの格好の目的地】
京都府下でも指折りの進学校として知られる京都市立堀川高校は今年2月、4泊5日の日程でマレーシアへの研修旅行を行った。同校普通科としては初となる海外研修旅行であり、試行実施という形でおこなわれたが、期待以上の成果を修める結果となった。


生徒の自主性を引き出す多様な素材が豊富
 ほぼ百パーセントの進学率を誇る同校は、早い段階から生徒自身の進路に応じた専門学習を行ない、生徒の自主性を育成する教育方針でも定評がある。 京都市内北通学圏から生徒を募る普通科T・U類と、京都府下全域から募る探究科(人間探究・自然探究)とに分かれているが、今年マレーシア研修旅行を実施したのは、 普通科1学年2クラスの全81名の生徒と引率教員5名の総勢86名である。
――学校が用意するものは3つだけである。飛行機と宿泊場所と安全の半分…残りの安全の半分と研修内容は生徒に委ねる――という考えのもと、 研修旅行は生徒たちが自主性を大いに発揮させる場でもある。
 「今年は“環境”というテーマで、マレーシアをフィールドワークの目的地として選びました」と語るのは大江加津雄前教頭である。現在は京都市立銅駝美術工芸高等学校の教頭を務めるが、 堀川高校在任中はマレーシア研修旅行を計画の段階から推進し、総指揮をふるった。
 「堀川高校の研修旅行は全学科とも1年の後期に行ないますが、研修旅行は国際理解の一環であると同時に、1年間行なってきた総合学習のいわば集大成であり、 生徒たちがテーマに基づいて研究した成果を旅行後に各々が論文とてして提出します」
 フィールドワークのテーマは生徒5.6名からなる班毎に自分たちで設定する。例えば食物班は「日本人とマレーシア人との味覚の違いは?」をテーマとし、 動物班1は「擬態する生物はなぜマレーシアに多いのか?」、宗教班は「マレーシアと日本では結婚に対して、どのような考え方の違いがあるのだろうか?」など、 いずれも生徒自身でテーマを打ち出し、担当教諭との意見交換を重ねて決定している。中には「マレーシアにディズニーランドを造るべきか?」 (観光業班)といったユニークで時代を反映したテーマもある。
 「探究活動を通じて目的意識を高め、進路へのモーチベーションを高めるのが狙いですが、フィールドワークを行なう上で、 多様な素材を有するマレーシアはまさにうってつけの目的地と言えます」

決定要因は「親日的」であること
 昨年まで、普通科の研修旅行は北海道や沖縄など国内に限られていた。しかし京都市でも、公立中学校での修学旅行で飛行機が解禁になったことから沖縄に行く中学校が増えてきたこともあり、 同校普通科も海外へ、という要望が高まっていた。
 大江前教頭はじめ担当の教諭陣は、アジア圏に絞って目的地選びを始めた。さまざまな国が候補にあがったが、“安全性”に重きを置いて選んだ結果、マレーシアに決まったという。
 「一番の要因は、やはり親日的であるということです。国際関係はさまざまな要素を含みながら常に流動していますから百パーセント安全だという国はありません。 ですが、日本とマレーシアの関係は長いあいだ非常に安定していますし、マハティール前首相のルックイースト政策による親日的な感情もいまだに健在です。実際、 現地に下見に行った折にもそのことを痛感しました」

研究テーマに合わせてコースを細分化
 記念すべき第1回目のマレーシア研修旅行は、自然観察が主体の ネイチャー・コースと、異文化体験がメインとなるカルチャー・コースの2つに大別し、生徒それぞれが希望のコースを選択した。 事前学習は前年の5月から週2時間の総合探究の時間を使って、マレーシアについてさまざまな角度から学習し、 生徒自身も班毎のテーマで研究を進めて行くと同時に、全80人中20人が研修旅行委員及びコースリーダー、 クラスリーダーといった形で役割を担い、全行程が円滑に行なわれるよう連絡網を強化した。

大江加津雄教頭
 「我々の主目標は生徒たちの自主性をいかに引き出すか、 ということですから、4人に1人の割合で生徒がリーダーとしての役割を担うと、全体の意識レベルが上がっていきます。 引率教員が5人だけにもかかわらず細分化された旅程をこなせたのも、このシステムにあったと思います」と話す大江前教頭。  研修旅行1日目は全員でコタ・キナバルに入り、翌日、 ネイチャー・コースは空路サンダカンに飛んでセピロック・オラウータン保護区やテングザル保護センターを見学、一方、 カルチャー・コースは2コースに分かれ、キナバル山ふもとの植物園とキャノピー・ウォークを体験できるキナバル公園コース、 海洋自然公園内にあるサピ島へ行く離島コースとに分かれた。
 3日目、ネイチャー・コースは前日のカルチャー離島コースと同じプログラムを行ない、すでに前日にクアラルンプール入りしていたカルチャー・コースはこの日も2コースに分かれ、 近郊のカンポン(村)を訪れるカンポンビジット・コースと、バティック工場、森林研究所、ヒンズー寺院のあるバトゥ洞窟やピューター(スズ)工場を見学するコースとに分かれた。  最終日はテーマ探究の仕上げの日である。全班ともクアラルンプール市内で約10名を1班としてフィールドワークを行なった。各班に現地日本語ガイドが付き、公共の交通機関を使って行動する。 いくつかの班は国立スポーツ学校を訪れ、学校交流を行なった。
 「常に生徒たち自身に考えさせるということを心がけておりましたが、そうした点でも今回の研修旅行は非常に実りの多いものになりました。しかし現状に満足せずに、 次回はもっと生徒たちの自主性を引き出すような研修旅行になるように願っています」と語る大江前教頭。今年の成功を受けて、来年の研修旅行もマレーシアが予定されている。


資料:兵庫県立須磨友が丘高等学校、マレーシア修学旅行日程


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7:00 堀川高校出発
9:30 関西空港着
11:30 マレーシア航空51便にてコタ・キナバルへ、機内にて昼食
16:00 コタ・キナバル着
18:00 ホテル到着(チェックイン)
19:00 市内レストランにて夕食(海鮮料理)
21:00 ホテル着 コタ・キナバル泊
2


 

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5:45 ホテル出発
6:00 コタ・キナバル空港着
7:00 国内線にてサンダカンへ
7:40 サンダカン空港着、バス内で朝食
9:00 セピロック・オラウータン保護区着、ビデオ学習と餌付け観察
11:30 テングザル保護センター着、餌付け観察と昼食
16:15 サンダカン空港着
17:25 国内線でコタ・キナバルへ
18:10 コタ・キナバル着
19:00 ホテルにて夕食(バイキング)コタ・キナバル泊




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(1)







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7:00 ホテル出発
9:15 キナバル公園着(植物園散策、展示室見学)
11:15 ポーリン温泉着(キャノピーウォーク)
12:30 レストランにて昼食(中華料理)
14:45 コタ・キナバル空港着
15:45 国内線にてクアラルンプールへ
18:10 クアラルンプール着
19:00 市内レストランにて夕食(マレー料理)
21:30 ホテル着 クアラルンプール泊
(2)



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8:30 ホテル出発、朝市などを見学
9:30 ボート乗り場着、サピ島へ(グラスボート、ビーチ散策など)
12:30 昼食(バーベキュー)
14:00 ボートにて市内へ
15:00 コタ・キナバル空港着、キナバル公園コースと合流、以後終日同一行程
3


 

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8:30 ホテル出発、朝市などを見学
9:30 ボート乗り場着、サピ島へ(グラスボート、ビーチ散策など)
12:30 昼食(バーベキュー)
14:00 ボートにて市内へ
15:00 コタ・キナバル空港着
15:45 国内線にてクアラルンプールへ
18:10 クアラルンプール着
19:00 市内レストランにて夕食(マレー料理)
21:30 ホテル着 クアラルンプール泊







(3)











8:30 ホテル出発
10:00 バングリス村着(パームオイル園、ゴム園、コーヒー園など家内産業視察)
11:30頃 バングリス村でのホームビジット
14:15 バングリス村出発
17:15 市内民芸店にて森林研究所コースと合流、ショッピング
18:00 レストランにて夕食(スチームボード)
19:30 ホテル着、クアラルンプール泊
(4)







8:30 ホテル出発
9:00 バティック工場着(手描き体験)
10:30 森林研究所着(博物館見学、ブリーフィング、トレッキング)
12:30 市内レストランにて昼食
14:00 バトゥ洞窟着
15:15 ロイヤル・セランゴール着(見学、ピューター小皿制作体験)
17:15 市内民芸店にてカンポンビジット・コースと合流、以後終日同一行程


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  4


 



9:00頃 ホテル出発、公共交通機関を使って市内へ。一部の生徒は国立スポーツ学校で学校交流
17:00 ホテル帰着
17:30 ホテル出発
19:00 夕食
21:15 クアラルンプール国際空港着
23:55 マレーシア航空52便にて大阪へ


  5

7:00 関西空港着
10:10 堀川高校着、解散


*詳細はマレーシア政府観光局のホームページをご覧下さい。
www.tourismmalaysia.or.jp