JR北海道は1日、2027年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。平均約8%の運賃値上げを進めて収益改善を図る。商業施設の開発にも力を入れ、最終年度の連結最終損益は15億円の黒字(22年度は164億円の赤字)を目指す。
値上げは19年10月以来となる。路線別の値上げ幅などの詳細を詰めて、国土交通省に申請する。増収分の一部を社員の待遇改善に充て、人材確保にもつなげる。
運輸事業では、新たな豪華観光列車を運行するほか、鉄道ファンを対象にした展示企画を実施して集客力を強化する。設備の保守作業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じてコスト削減も徹底する。
非運輸事業では、札幌駅前や次世代半導体の量産を目指すラピダスが進出する千歳市で不動産開発を手がけるほか、インバウンド(訪日客)向けの高級ホテルを計画する。
31年度の経営自立に向け、「単独では維持困難」とする赤字8区間については、沿線自治体と協議しながら26年度末までに抜本的な改善方策を確実に取りまとめると明記した。
将来的な構想として、30年度末に予定する北海道新幹線の札幌延伸開業後に、在来線の札幌―旭川間を現在より25分短い最速60分で結ぶ事業案を盛り込んだ。