航空連合、ベア1万円以上要求を発表 2年連続で最高額
全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)など航空会社の労働組合が加盟する航空連合は25日、2024年の春季労使交渉で基本給を一律で月額1万円以上引き上げるベースアップ(ベア)を求めると発表した。要求額は2年連続で過去最高となり、前年の6000円以上を上回った。
ベア率は平均で3.6%になる。定期昇給(定昇)を含む全体の賃上げ率は平均5.87%だ。このほか11時間の勤務間インターバル協定の締結も求めている。前年のベア要求額は月額6000円以上だった。航空連合の内藤晃会長は25日の記者会見で「人への投資を積極的に求める方針のもと、賃金と働き方の面を重点項目に掲げた」と話した。
同日には空港の地上業務を手掛けるグランドハンドリングの業界団体「空港グランドハンドリング協会(グラハン協会)」との労使懇談会も初めて開いた。賃金や労働環境など処遇改善や省力化、省人化といった生産性の向上について議論した。
航空連合の内藤会長は「低い賃金など労働条件に関する課題を改善することで人材を確保し、産業を持続的に発展させることは労使共通の目標だ」と述べた。グラハン協会の小山田亜希子会長は「賃金だけでなく労働時間も含む処遇の見直しが重要だ」と応じた。
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。