サービス連合、ベア3%要求決定 「労働環境の改善に」
観光関連業界の労働組合でつくるサービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は22日、2024年の春季労使交渉で、基本給を引き上げるベースアップ(ベア)を3%求めると発表した。観光業界は新型コロナウイルス禍からの急激な需要回復を受け人手不足が深刻になっている。持続可能な賃上げを実施する転換点にすることを目指す。
桜田あすか会長は同日、記者会見で「インバウンド(訪日外国人)は大変好調だが、人手不足を解消しないことには産業としての発展はないだろう」と述べた。3%とした根拠については、「日本全体で賃上げの機運が高まっている。我々が旗を振って出すメッセージとして、様々な労働環境の改善も含めて取り組むという意味を込めて設定した」と話した。
ベア要求は11年連続で、直近4年は「1%以上」としていた。3%の要求は01年にサービス連合が発足して以来過去最高となる。定期昇給(定昇)を含めた全体の賃上げの要求水準も初めて示し、5%とする。「5%以上」とする連合の要求水準に近づけた。
定昇制度がない組合などではベアで5%を求める方針だ。「宿泊業を中心として人事制度が整っていない加盟組合もある。地域間格差をなくしてどの地域でも人から選ばれる産業にしたい」(宇高誠会長代理)。23年の全体の賃上げ率は2.67%(集計可能な15組合の平均)だった。
パートや契約社員については平均賃金の5%分に当たる月給1万367円、時給49円以上の賃金改善が目安になる。各組合は遅くとも2月下旬までに要求書を提出し、経営陣と交渉に入る。集中交渉期間は3月11〜15日とし3月末までの決着を目指す。
サービス連合は帝国ホテルやJTBといったホテルや旅行会社、国際航空貨物など約200組合が加盟する。組合員は約3万9000人でコロナ前から1万人弱減った。中期的な賃金水準として「35歳年収550万円」を掲げている。
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