日本でラッコに会える水族館は、鳥羽水族館とマリンワールド海の中道の2つです。もふもふの毛や前足を器用に使う人間味あふれる仕草で、人気を集めているラッコ。一度は生で見てみたいと思っている方も多いでしょう。
この記事では、ラッコに会える2つの水族館の情報を詳しくお伝えします。さらに、あまり知られていないラッコの生態やラッコ好きの筆者が厳選するかわいい仕草についても紹介。水族館に行く前にチェックしておけば、より楽しいラッコとの思い出が作れるはずです。
ラッコがいる水族館は日本に2つだけ
2024年8月現在、ラッコが見られる水族館は日本で2つだけです。
- 鳥羽水族館(三重県鳥羽市)
- マリンワールド海の中道(福岡県福岡市)
それぞれの水族館の見どころや、アクセス方法などについて詳しくお伝えします。
【三重】「鳥羽水族館」のメイちゃんとキラちゃん
三重県鳥羽市にある鳥羽水族館では、アラスカラッコの「メイ」と「キラ」という2頭のラッコが暮らしています。鳥羽水族館は、ラッコ以外にも日本で唯一ジュゴンを飼育している水族館として有名です。
鳥羽水族館で会える2頭について、紹介します。
◆メイ(20歳)鳥羽水族館生まれ
生年月日 | 2004年5月9日 |
性別 | メス |
見た目の特徴 | 顔や腕のまわりの毛が白いひげが短くそろっている鼻に白い傷がある |
得意技 | 「イカミミジャンプ」ガラスに張り付いたイカを水中からハイジャンプしてゲットする |
◆キラ(16歳)アドベンチャーワールド生まれ
生年月日 | 2008年4月21日 |
性別 | メス |
見た目の特徴 | 口のまわりの毛がやや黄色いひげが長い全体的に黒い |
得意技 | 「キャッチ&ポイ」飼育員さんが投げたおもちゃを前足でキャッチしてバケツの中に入れる |
鳥羽水族館を2倍楽しむ方法
鳥羽水族館を、より楽しむために事前に知っておきたい情報をお伝えします。
◆ラッコの芸が見られるお食事タイム
ラッコの芸が見られる食事タイムは、1日3回です。
- 9:40~
- 13:00~
- 16:20~
40分ほどの食事タイムでは貝などを食べる様子や、さまざまな芸を披露する様子を見学できます。
◆レストラン
館内のレストラン「花さんご」では、メイちゃんをかたどったカレーライスを販売。
11時〜14時30分のランチタイムのみ提供中です。
◆おみやげ
館内の複数のショップでは、ラッコのぬいぐるみやお菓子、マグカップ、Tシャツなどが購入できます。館内でしか手に入らない「ラッコメモリアルBOOK with 鳥羽水のラッコたち」には、鳥羽水族館で飼育されたラッコたちの写真が収められています。
鳥羽水族館
【住所】三重県鳥羽市鳥羽3-3-6
【電話番号】0599-25-2555(代表)
【アクセス】
<電車>
JR参宮線または近鉄鳥羽線 鳥羽駅から徒歩10分
<車>
伊勢自動車道 伊勢ICから伊勢二見鳥羽ラインで約15分
<伊勢湾フェリー>
伊良湖のりば(愛知県田原市)から鳥羽のりばまで約55分→港から徒歩約3分
【営業時間】9:30~17:00(GW、夏休み期間などは9:00~17:30 ※詳しくは公式サイト参照)
【休館日】年中無休
【料金】大人2,800円 / 小中学生1,600円 / 幼児(3歳以上)800円
※団体・障害者割引有り
【公式ホームページ】https://aquarium.co.jp/
【SNSアカウント】
https://www.youtube.com/user/TobasuiChannel
https://www.instagram.com/toba_aquarium.official/?hl=ja
https://twitter.com/TOBA_AQUARIUM
※入館は閉館時間の1時間前まで
鳥羽水族館周辺のおすすめの宿
鳥羽水族館の周辺で、おすすめの宿を紹介します。
【周辺のおすすめ宿】
◆鳥羽シーサイドホテル
伊勢湾が一望できる抜群のロケーション。榊原温泉「七栗の湯」を使用した3ヶ所の温浴施設が用意されており、至福のひとときを味わえます。年代を問わず楽しめる約50種類の和洋バイキングがあり、家族連れにもおすすめ。
鳥羽シーサイドホテル
【住所】三重県鳥羽市安楽島町1084
【電話番号】0599-25-8181
【アクセス】
<電車>
・JR参宮線または近鉄鳥羽線 鳥羽駅から無料シャトルバスで約10分
<車>
・伊勢自動車道 伊勢ICより 伊勢二見鳥羽ラインで約10分
【チェックイン・チェックアウト】チェックイン15:00・チェックアウト10:00
【予約方法】電話、公式サイトからのオンライン予約
【公式ホームページ】https://www.tobaseasidehotel.co.jp/
【SNSアカウント】
https://www.instagram.com/tobaseaside
https://twitter.com/toba4kikaku
◆戸田家
1830年創業の歴史ある宿。13のお風呂と5つの無料貸切風呂が楽しめます。鳥羽駅から徒歩3分、鳥羽水族館から徒歩2分とアクセスも抜群。
戸田家
【住所】三重県鳥羽市鳥羽1丁目24-26
【電話番号】0599-26-5511
【アクセス】
<電車>
・JR参宮線または近鉄鳥羽線 鳥羽駅から徒歩約3分(無料送迎あり)
<車>
・伊勢自動車道 伊勢ICより伊勢二見鳥羽ラインで約15分
【チェックイン・チェックアウト】チェックイン15:00・チェックアウト10:00
【予約方法】電話、公式サイトからのオンライン予約
【公式ホームページ】https://www.todaya.co.jp/
【SNSアカウント】
https://www.instagram.com/todaya_toba
【福岡】「マリンワールド海の中道」のリロくん
福岡県福岡市にあるマリンワールド海の中道では、九州の海をテーマに350種の生き物が展示されています。ここには、アラスカラッコの「リロ」が暮らしています。
◆リロくん(17歳)アドベンチャーワールド生まれ
生年月日 | 2007年3月30日 |
性別 | オス |
見た目の特徴 | がっしりとした体格おにぎりのような大きな鼻 |
得意技 | ハイタッチ・スピン |
マリンワールド海の中道を2倍楽しむ方法
マリンワールド海の中道を、より楽しむために事前に知っておきたい情報をお伝えします。
◆ラッコの芸が見られるお食事タイム
ラッコの食事タイムは1日5回ですが、来園者に公開されるのは12:30からの1回のみです。飼育スタッフの説明もあるので、ラッコの生態についても学べます。
◆レストラン
館内のレストラン「restaurant Reilly」では、鉄板プレートのハンバーグやカレー、ラーメン、パスタ、バーガープレートなどさまざまなメニューが用意されています。
◆おみやげ
2階「SEA FOREST」では、オリジナルグッズが多数販売。オリジナルブック「らっこ ~marineworld racco history~」には、これまでマリンワールドで飼育されてきたラッコたちの歴史がまとめられています。
マリンワールド海の中道
【住所】福岡市東区大字西戸崎18-28
【電話番号】092-603-0400
【アクセス】
<電車>
JR香椎線 海ノ中道駅から徒歩約5分
<車>
福岡都市高速 香椎浜ランプから約15分
<船>
高速船「うみなかライン」
「博多埠頭」または「ももち」から20分
【営業時間】9:30 ~17:30(GW・夏季9:30~21:00 / 12月~2月10:00~17:00)
【休館日】2月第一月曜とその翌日
【料金】大人2,500円 / 小中学生1,200円 / 幼児(3歳以上)700円 /
65歳以上2,200円/専門学生・大学生・高校生2,500 円 ※団体・障害者割引あり
【公式ホームページ】https://marine-world.jp/
【SNSアカウント】
https://www.youtube.com/channel/UCZXKTcGKoc7gYhBPoxNhoDg
https://www.instagram.com/marineworld.uminaka
https://twitter.com/marine_uminaka
※入館は閉館時間の1時間前まで
マリンワールド海の中道周辺のおすすめの宿
マリンワールド海の中道周辺でおすすめの宿を紹介します。
【周辺のおすすめ宿】
◆ホテルモントレ福岡
天神、中州などへも徒歩で行ける立地の良さと部屋の広さが人気。サウナ付きの大浴場が完備され、旅の疲れも癒やせます。味だけでなくサービスも一流だとファンも多いレストラン「サンミケーレ」では、開放的な空間で新感覚の創作イタリアンを堪能できます。
ホテルモントレ福岡
【住所】福岡県福岡市中央区渡辺通3丁目4番13号
【電話番号】092-734-7111
【アクセス】
<電車>
・福岡市営地下鉄七隈線「渡辺通」駅下車徒歩約2分
・福岡市営地下鉄空港線「天神」駅下車徒歩約13分
・西鉄天神大牟田線「西鉄福岡(天神)」駅下車(南口より)徒歩約8分
<車>
福岡都市高速「天神北」出口より渡辺通を南下し約10分
<空港から>
福岡空港より福岡市営地下鉄空港線「博多」駅 下車、福岡市営地下鉄七隈線「渡辺通」駅下車徒歩2分(所要時間約15分)
【チェックイン・チェックアウト】チェックイン15:00・チェックアウト11:00
【予約方法】電話、公式サイトからのオンライン予約
【公式ホームページ】https://www.hotelmonterey.co.jp/fukuoka/
◆ホテルオークラ福岡
一流ホテルならではの行き届いたサービスと、丁寧に整えられた内装が魅力。サービスの質の高さや安心感を求める方におすすめです。中洲川端駅に直結し、周辺観光スポットへのアクセスが良好な点も人気。
ホテルオークラ福岡
【住所】福岡県福岡市博多区下川端町3-2 博多リバレイン
【電話番号】092-262-1111(代表)
【アクセス】
<電車>
・福岡市営地下鉄 中洲川端駅 川端口改札より6番出口方面へ(改札より徒歩約3分)
・JR博多駅から地下鉄で5分、博多から車で10分
<車>
・九州自動車道 大宰府インターまたは福岡インターより 車で約20分
・福岡都市高速 呉服町ランプより 車で約1分
・福岡都市高速 千代ランプより 車で約5分
<空港から>
・福岡空港から地下鉄「中洲川端駅」で下車、川端口改札から出て6番出口方面へ進み徒歩約3分
【チェックイン・チェックアウト】チェックイン15:00・チェックアウト11:00
【予約方法】電話、公式サイトからのオンライン予約
【公式ホームページ】https://www.fuk.hotelokura.co.jp/
【SNSアカウント】
https://www.youtube.com/channel/UCG47t7atiekm7vNwPilIpdQ
https://www.instagram.com/hotelokura_fukuoka
水族館に行く前に知りたい!ラッコの生態とは
「そもそもラッコって、どんな動物なの?」と、疑問を持つ方もいるでしょう。ラッコの基本情報は、以下のとおりです。
分類:食肉目イタチ科カワウソ亜科ラッコ属
生息地:北太平洋の沿岸
体長:100~140cm
体重:20~40kg
寿命:15~20年
ここでは、ラッコの主な特徴を3つ紹介します。水族館に行く前に、ラッコの生態についてのポイントを押さえておきましょう!
特徴1.イタチやカワウソの仲間
ラッコの生物学上の分類は、「食肉目イタチ科カワウソ亜科ラッコ属」です。カワウソは英語で「otter」、ラッコは「sea otter」と呼ばれる点からもわかるように、ラッコはカワウソの仲間にあたります。進化の過程で、カワウソは川などの淡水に、ラッコは海に適応していきました。
特徴2.寒い地域に暮らし魚介類を食べる
日本の水族館で暮らしているラッコたちは、「アラスカラッコ」と呼ばれる種類に属します。アラスカラッコの生息地は、北太平洋の寒い海。水温4〜10℃の冷たい海で暮らしています。
食べ物は、貝やウニ、カニ、エビ、タコなど。冷たい海の中で生き抜くために、1日に体重の20〜30%ほどのエサを食べて体温を維持しています。皮下脂肪が少ないラッコにとって、食事量を確保して体温を維持することは欠かせません。
特徴3.寿命は15~20年ほど
野生のラッコの寿命は15年程度、飼育環境下では20年程度です。飼育されているラッコは食事が安定的に確保できることもあり、長生きの傾向にあります。鳥羽水族館で暮らすメイの母ラッコ「ポテト」は、25歳まで生きました。
水族館で見たい!ラッコのかわいすぎるポイント5選
ラッコといえば、水にぷかぷか浮かんでいる姿が印象的ですよね。しかしラッコの魅力はそれだけではありません。あまり知られていない、かわいいポイントがいくつかあります。
そこでここでは、他の動物にはないラッコ独自の特徴や愛らしい仕草を5つ紹介します。水族館に行った際は、ぜひここで紹介するポイントを意識して見学してみてください。
哺乳類トップクラス!もふもふの毛
ラッコは哺乳類の中でもトップクラスに毛量の多い動物です。ラッコの体には、1平方センチメートルあたり10万〜14万本の毛が生えています。1頭のラッコの毛量は、人間でいうと8,000人分の髪の量に相当するといわれています。
さらに、1本の長い毛の根元に柔らかなアンダーファーが12〜108本ほど生えていることで、ふわふわの状態が作られているのです。陸場で寝ているときは、毛のもふもふ感がよくわかります。
毛を整える仕草がかわいい!毛づくろい
ラッコは1日の多くの時間を毛づくろいに費やします。全身の毛を前足でさすったり口や鼻から空気を送ったりして、毛並みをふわふわに整えます。
これは、冷たい水が皮ふに直接触れないよう毛の中に空気の層を作るのが目的で、皮下脂肪の少ないラッコの体温を維持するためには欠かせない習慣です。頭から顔まわり、しっぽの先までくまなく毛づくろいをするために体を丸めたりねじったりする姿は、思わず顔がほころんでしまう愛らしさがあります。
立って歩ける後ろ足と器用につかめる前足
ラッコの後ろ足は指の間に水かきがあり、魚のヒレのような形をしています。水中ではこの後ろ足をあおりながらスイスイ進みますが、陸上では二本足を使って歩くこともできます。ヒレのような後ろ足でちょこちょこ歩く姿は愛らしく、一度見たらとりこになる人も多いでしょう。
前足はやや短めではあるものの、物をつかんだり貝を割ったりと、器用に使えます。アシカやアザラシと違って、飼育されているラッコは人から食べ物やおもちゃをもらうときに、口ではなく前足で受け取ります。前足で物を受けとったり渡したり、どこか人間味がある仕草も、ラッコの魅力のひとつです。
実は賢い芸達者
石を使って貝を割るなど、道具を器用に使えることからもわかるように、ラッコは頭の良い生き物です。
前足で貝殻やおもちゃを脇腹のポケットに集めたあと、陸上にあるバケツの中に片づけたり、三角コーンを持ったままクルクルまわったり。水族館では、芸達者な姿が見られますよ。目の前で彼らの芸を見たら「そんなこともできるの?」と驚く人は少なくないでしょう。
ラッコが水族館から減ってしまった理由
2024年現在、日本で飼育されているラッコは3頭ですが、以前は日本の水族館に122頭ものラッコが暮らしていました。ラッコブームの経緯や、絶滅の危機に瀕している状況について解説します。
第一次ラッコブーム時は全国に122頭
日本の水族館で初めてラッコが飼育されたのは1982年。静岡県の伊豆・三津シーパラダイスにアメリカからオスのラッコ「ウィリー」がやって来たのが始まりです。1984年には、鳥羽水族館に初めての赤ちゃんも誕生。ラッコ人気の高まりとともに、日本各地の水族館や動物園でラッコが展示されるようになりました。
最盛期の1994年には全国28の施設で122頭のラッコが飼育されましたが、海外からの輸入が途絶え、国内での繁殖も次第にうまくいかなくなり、頭数は減少していきました。
国際取引の規制と飼育下での繁殖の難しさ
ラッコが減少し始めた要因のひとつは、毛皮目的の乱獲です。もともとアラスカの先住民が愛用していた断熱性の高いラッコの毛皮が世界で注目されだすと、高値で取り引きされるようになり、数万頭から約2,000頭まで減少したと言われています。
1911年には商業目的の狩猟が規制され、1975年には国際取引が制限されました。しかしその後、アラスカ沖でタンカーが座礁し、原油が海に流出する事故が発生。3,000頭ほどのラッコが命を落としました。こうした背景もあり、2000年には国際自然保護連合により絶滅危惧種に指定されました。
海外から輸入できない状況となり国内での繁殖だけが存続の手段となったものの、ストレスに弱いラッコにとって、繁殖のために水族館を移動させるのは簡単なことではありません。また、飼育環境下のオスは消極的で繁殖しにくい問題もあり、頭数は徐々に減少していきました。
タンカー事故に限らず、人間の生活排水によって海が汚染されラッコが命を落とすことも確認されています。ラッコや海の生き物を守るためにも、環境を悪化させないよう意識したいですね。
現在国内にいるラッコは3頭とも高齢で、唯一のオスのリロはキラと兄弟です。したがって、今後の繁殖は厳しい状況です。海外取り引きもできないことを考えると、日本の水族館でラッコが見られるのはあとわずかかもしれません。
北海道には野生のラッコの姿も
北海道東部の霧多布岬(正式名称は湯沸岬)では、2016年ごろから野生のラッコがぷかぷかと浮かんでいる姿が見られるようになりました。ここで見られるのは、現在水族館で暮らすアラスカラッコとは異なる「チシマラッコ」です。
2018年以降は赤ちゃんの誕生も確認され、繁殖の傾向が見られているのだそう。しかし、野生ラッコを一目見ようと訪れる観光客の中には、マナー違反の行動をする人も表れており、ラッコの定着が懸念されています。見守りを続けるNPO法人「エトピリカ基金」では、訪れる人に次の点を呼びかけています。
- 遊歩道から出ない
- ドローンを飛ばさない
- 船で接近しない
ラッコがこの先も住みつづけられるよう、見学する際は細心の注意を払いましょう。
かわいいラッコに会いに水族館へ行こう
日本の水族館でラッコに会えるのは、三重県の鳥羽水族館と福岡県のマリンワールド海の中道の2ヶ所です。ぷかぷかと水に浮かぶ姿や全身を毛づくろいする仕草、二本足で歩いたりおもちゃを前足でキャッチしたりする様子に、心癒やされること間違いなしでしょう。
残念ながら日本の水族館でラッコが見られるのはあとわずか。かわいいラッコに会いに、水族館へ足を運んでみてはいかがでしょうか。