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内閣官房と観光庁は、休暇を楽しみながら仕事にも取り組む「ワーケーション」の本格的な普及に乗り出す。今年度内にも官民で協議体を発足させ、ワーケーションの意義や効果を積極的に発信し、企業に導入を促す。コロナ禍で落ち込んだ地方経済の活性化につなげる狙いだ。
協議体には、導入に前向きな企業に加え、地方自治体、観光団体など約30の企業・団体の参加を見込む。すでに実施している企業や、受け入れ実績が豊富な自治体の事例を集めて共有する。導入したい企業と受け入れ地域を仲介するなど、定着に向けた取り組みを進める。
ワーケーションは、英語で仕事を意味する「ワーク」と休暇の「バケーション」を組み合わせた造語。例えば、ビジネスマンが一定期間、自然豊かな地域の宿泊施設に滞在し、平日は会社の業務、週末に休暇を取得するといったスタイルがある。作業効率が向上し、新しい発想が生まれるメリットがあるとされる。コロナ禍でテレワークが浸透しつつある中、ワーケーションにも注目が集まっている。
日本では、旅行が土日や大型連休、年末年始など特定の時期に集中する傾向が強い。宿泊日数も欧米に比べて短いとされ、国内の旅行消費額が伸び悩む原因とされている。
ワーケーションは、平日を含めて長期間滞在してもらえるため、地方の期待は大きい。宮崎県日向市など受け入れ施設の整備に乗り出す地方自治体は全国に広がっている。
ただ、現状では企業の導入は低調だ。観光庁が昨年実施したウェブ調査(600社対象)によると、導入している企業はわずか5・3%だった。「業務と休暇の区別がつきにくい」「効果を感じない」などの理由が挙がった。
観光庁は17日、全国約30か所でワーケーションの実証事業を行うため、企業や地域の公募を始めた。参加企業の社員に自然体験や地域住民との交流をしてもらい、集中力向上やストレスの軽減につながったかを検証する。専門家が企業や地域に助言し、宿泊費などの関連経費は国が負担する。