九州観光機構 新戦略でリピータ拡大に注力 

記者会見する九州観光機構の唐池恒二会長=福岡市中央区
記者会見する九州観光機構の唐池恒二会長=福岡市中央区

九州観光機構(旧九州観光推進機構)は15日、九州の観光振興に向けた新たな戦略を発表した。リピーターの拡大を戦略の柱に据え、インターネットテレビ局の開設や割引クーポン事業などに取り組む。訪日外国人観光客の受け入れ再開や都道府県が行う旅行割引「県民割」の対象拡大を追い風に、新型コロナウイルス禍で沈んだ九州観光の復活を目指す。

同日、福岡市内で定時総会を開き、組織の名称を「九州観光推進機構」から「九州観光機構」に変えることを決定した。唐池恒二会長は総会後の記者会見で「『推進』は後押しするというニュアンスで、当事者意識に欠ける」と改称の理由を説明した。

新たな戦略では、観光を九州の基幹産業と位置づけ、リピーターを中心に交流人口を増やしていくことを同機構のビジョンに掲げる。その上で取り組むべきミッションとして「魅力ある観光地づくり」などを据えた。

令和4年度は新たにインターネットテレビ局を開設し、7月4日からユーチューブで動画を配信する。ゲストとの対談や九州各地の地域情報などを発信する。リピーターの拡大を目指し、クーポン事業にも乗り出す。九州内のホテルや旅館に宿泊すると1人1泊ごとに1ポイントを進呈。3ポイントたまると5千円分のクーポンがもらえる。

唐池氏は「これからはリピーターの拡大が機構のメインテーマだ。新しい観光資源の創造にも力を入れていきたい」と述べた。

コロナ禍で九州観光は大きな打撃を受けた。九州の観光消費額は令和元年に過去最高の2兆8800億円を記録したが、3年は1兆950億円(速報値)まで落ち込んだ。同機構は当初、5年に4兆円を目標にしていたが、現在は下方修正を検討している。

ただ、コロナの感染状況が落ち着き、追い風も吹き始めた。政府は今月10日、約2年ぶりに訪日外国人観光客の入国手続きを再開。国内旅行では「県民割」の適用対象を7月にも広域ブロックから全国に広げる方針だ。

唐池氏は「コロナはこのまま収束に向かっていくのではないか。観光も完全回復には1、2年かかるだろうが、夏から秋にかけてかなりのペースで回復するだろう」と話した。

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