50人程度で実証 訪日観光客受け入れ再開で観光庁長官

浅草・仲見世商店街にある外国人観光客向けの着物店=東京都台東区(宮崎瑞穂撮影)
浅草・仲見世商店街にある外国人観光客向けの着物店=東京都台東区(宮崎瑞穂撮影)

観光庁の和田浩一長官は18日の定例会見で、政府が旅行目的の訪日外国人客(インバウンド)受け入れ再開に向けて5月中にも試験的に実施する団体旅行について、1ツアーにつき4人以下の小規模にし、10~15ツアーで計50人程度になる見込みであることを明らかにした。本格再開には「(受け入れ)地域の理解と安心感の醸成を図ることが大事だ」と述べ、慎重に進める姿勢を強調した。

政府の水際対策をめぐっては、2月まで3500人だった1日当たりの入国者数上限が段階的に引き上げられ、現在は1万人。政府は6月から2万人とすることを検討しており、同時に観光目的での入国再開についても可否を見極める。

今月内には米国、オーストラリア、タイ、シンガポールの4カ国を対象とした少人数ツアーの実証事業を行い、新型コロナウイルスの感染対策や陽性者が出た際の対応策をガイドラインとしてまとめる方針だ。

和田氏は会見で、実証事業のツアー参加者は当該国の旅行会社関係者だけとし、計50人程度と限定的な規模になると説明した。

岸田政権は、感染対策の〝成否〟が支持率に直結するとして、訪日客の受け入れには慎重な姿勢を貫いてきた。

しかし、再開を求める声は日ごとに強まり、日本旅行業協会は「観光孤立国に追い込まれている」(高橋広行会長・JTB会長)と訴え、全国知事会も「観光関連産業の復興と持続的な成長において欠かせない要素」(観光分野を担当する広瀬勝貞大分県知事)と要望していた。

和田氏は今回の実証事業が地域の理解促進などの観点から実施することを明かし、再開に向けては「感染拡大防止と経済社会活動のバランスをどう考えるかが最大のテーマになる」とした。(福田涼太郎)

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