4月に「雇用調整助成金」制度がリニューアル 助成額の増額など3つの変更点を解説6月30日まで適用(1/3 ページ)

» 2022年05月12日 08時00分 公開

 コロナ禍をきっかけに日常的に“助成金”という言葉を聞くことが多くなりました。この助成金の中で最も知られているのが、「雇用調整助成金」だと思います。

コロナ禍で雇用調整助成金が広がった(画像:ゲッティイメージズより)

 簡単に解説すると、例えば工場で原材料が輸入できなくなり製造ラインを停止する場合、会社は労働者に与える仕事がなくなるので自宅待機を命じることになるでしょう。その場合でも会社は一定の給与(休業手当)を支払う義務が法的にあります。すぐに原材料が入ってくれば良いですが、先行きが不透明なときは、ずっと休業手当を負担し続けるわけにもいかないので解雇しようという判断になります。

 解雇された労働者を他社が雇用するのであれば良いのですが、災害時のような環境下では受け皿が不足するので、そのまま失業者となってしまいます。

 解雇を思いとどまらせるために「会社が支払った休業手当を助成金で応援してあげましょう」というのが雇用調整助成金です。これにより労働者は雇用を守られ、会社も育成した労働者を流出させずにすみます。

雇用調整助成金の仕組み

202年4月にリニューアル もともとの形からどう変わった?

 雇用調整助成金は、労働者に失業回避というメリットをもたらすとともに、会社にも一定のスキルを持った労働者を繁忙期に備えて確保できるという大きなメリットがあるため、極めて厳格に運用されていました。

 ただ、コロナ禍という特殊な環境下において、失業回避への取り組みの重要性が増しました。そのため「緊急対応期間」を定め、提出書類の簡素化、申請ルールの緩和、助成額の増額などの措置を講じ、会社にとって使い勝手の良いものに作り変えられました。

緊急対応期間の変更点は?

 現時点で「緊急対応期間」については、2022年6月30日までの延長が確定しているものの、さらに期間が伸びる見込みです。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.