韓国、コロナ感染後も隔離なしに リスク分類引き下げ
【ソウル=細川幸太郎】韓国政府は15日、新型コロナウイルスの感染後の隔離義務を撤廃すると発表した。感染症のリスク分類を1段階引き下げ、感染しても隔離せずに日常生活を送れるようになる。同日には飲食店の営業時間や集会人数などの規制を2年ぶりに解除することも発表しており、防疫措置を緩和して経済の回復を急ぐ。
1カ月ほどの猶予期間を経て5月中には新型コロナの感染症分類を現在の「1級感染症」から「2級感染症」に引き下げる。2級には結核や水ぼうそう(水痘)などが含まれる。指定変更によって季節性インフルエンザと同様に隔離義務はなくなる。
一般の医療機関が診察対応し、治療費も本人負担となる。現在、全国に3万2800床ある重症患者用のコロナ専用病床も段階的に縮小し、重症患者は国立の感染症専門病院の4000床ほどで対応するという。
直近1週間の韓国の平均感染者数は1日あたり16万人を超える。各国の政府統計などをまとめた感染情報サイト「ワールドメーター」によると、ドイツやフランスを引き離して韓国が世界で最も多い。死者数は1日あたり260人ほどで他国と比べて低いものの、3月の感染ピーク時から2割減にとどまっている。
それでも韓国政府が防疫措置の緩和に動くのは「オミクロン型の特性を十分に把握し、ワクチンと治療薬という効果的な武器も備えた」(防疫当局)ためだ。
韓国ではワクチンを3回接種した人の割合は64%に達し、特に重症化しやすい60歳以上では89%が接種を完了した。政府は今後の感染者数について「相当期間は5万~10万人で推移する」と分析しており、コロナを「エンデミック(一定期間で繰り返される流行)」と捉える。
2年間続けてきた市民の行動規制も解除する。18日には飲食店や遊興施設の営業制限をなくし、飲食時に10人までとしたグループ人数の制限も撤廃する。大規模な集会や行事も実施可能となる。屋内でのマスク着用義務は残るものの、屋外での着用義務は近く撤廃する方針も示した。
残る制限は入国規制などに限られる。韓国は4月1日からオーストラリアやカナダなど一部の国からの観光目的の入国を再開し、ワクチン接種を条件として隔離なしでの入国を認めている。日本とも往来再開の協議を進める方針だ。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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