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IT系に行った元社員が振り返る今週のニュース ー 不正受給で観光産業はどのくらい損なわれたのだろう

  • 2022年4月17日

 今週は圧倒的に会計士の視点シリーズが人気でした。PVもUUも二番人気にダブルスコア以上という人気ぶり。なにせテーマがHISのGoToトラベル不正受給問題ですから、業界で気にならない人の方が少ないでしょう。

 細かな内容に関しては、玉置先生が書かれていることの蛇足にしかならないので触れずにおくとして、今回読者の皆様の意見を読んでいても思うのが「そもそもGoToの制度設計がどうよ」というところかと思います。GoToが始まった頃の話ですが、上司が色々な運用や制度について事務局に尋ね確認していた内容を聞き「不正し放題だな」と同僚達と話したことを思い出しました。何千億円という国の予算が使われる制度がこんなものなのかと。
 言い換えれば、観光産業の善意を信用されていたとも捉えられますが、残念ながらHISはもちろん、他にも旅行会社やホテルなどの複数の企業における不正受給がニュースになっており、信頼は地に落ちたといってもいいでしょう。そうなれば当然「GoToトラベルなんて不要」という主張は出てくるでしょうし、そこまではいかないにしてもただでさえ煩雑だった手続きが更に複雑かつ面倒になることは容易に想像できます。業界が信用を取り戻すには何ができるのか……少なくとも一年や二年では難しいでしょう。本当、一連の不正で観光産業が失ったものは大きい。
 あと、個人の疑問としてはGoToトラベル事務局を旅行会社がやっていてガバナンスが効くのか? というのがあります。せめてGoToトラベル全体の不正調査を行う団体は外注しないと駄目では……

暗い話はこのくらいにして、ついに動き始めた令和トラベルに関してです。
 個人的には勝手にめちゃくちゃ期待していまして、この「NEWT」の登場が業界のターニングポイントになってくれやしないかと思っています。というのも、NEWTは私が知る限り初の創業からモバイルファーストな日本の旅行会社だからです。今や世に有名なOTAはいくらでもありますが、それらは私が知る限りスタート時点はパソコンで見ることを前提にした作りでした。もちろん、各社は今モバイルファーストに合わせて変化されていますが、NEWTは現時点で公開されているウェブサイトを見る限り、そもそもパソコンでユーザが見るケースを重視していなさそうです。
 これはある意味で、ユーザの取捨選択を行っているとも言えます。スマホを持っていて、アプリを入れるほど常日頃から旅行に関して調べる層にほとんどリーチしないわけですから。そこまでユーザが絞られると、自然とユーザが求められるコンテンツや情報も絞れるでしょう。そこからどんな面白い手を打たれるのか、今後が楽しみです。