上海都市封鎖、ANAなど貨物便欠航 「ユニクロ」休業も
中国・上海での事実上のロックダウン(都市封鎖)が物流や小売業に影響し始めている。従業員が空港に出勤できなくなり、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)などは28日に予定していた上海への貨物便の運航を取りやめた。カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングも一部の現地店舗の休業を決めた。
ANAは27~28日に予定していた羽田・成田両空港を発着する計5往復を欠航とした。整備士や地上業務のスタッフが出勤できず、運航に必要な体制が整えられなくなっている。28日夜以降の予定は未定だが、貨物の受託は止めている。同社によると上海線では電子部品などが輸送されている。
JALは28日の羽田・成田発着2往復を欠航とした。日本貨物航空(NCA)は28日夜の成田発上海行き1便に加え、29~31日も一部の便の欠航を決めた。通常は昼夜1便ずつ運航しているが夜の便を欠航する。昼の便は運航する方向で調整するが、スタッフなどが手当てできなければ欠航する可能性もある。
今回の都市封鎖は市内を東西2地域に分けて実施。浦東国際空港周辺の上海東部は4月1日の早朝まで外出が原則禁止となり、その後西部で5日早朝まで同様の措置がとられる。
ファーストリテイリングは現在、上海市内で「ユニクロ」87店舗を展開している。28日から政府の指示に従い、東側にある地区の21店舗を当面休業する。西側でも入居する不動産会社などの要請もあり、既に20店前後が休業していた。28日から東側の店舗にも休業が広がったことで、市内の半数近くのユニクロ店舗が休業することになる。
ローソンも上海市のロックダウン対象地域にある約300店を休業する。
生産活動への影響も広がる。中国メディアは28日、米テスラが上海工場でのEV(電気自動車)生産を4日間停止すると伝えた。
今回の都市封鎖では、電気、ガス、水道、食料など生活インフラ関連以外の企業は在宅勤務などが必要になり、工場は閉鎖された環境での生産を求められる。三菱電機は上海にあるエレベーター工場で稼働率を落として対応している。工場を一度出るとPCR検査が必要になるため、従業員は泊まり勤務とした。工場以外の従業員も一部を除き在宅勤務に切り替えた。
マツダは上海市に中国事業の統括会社を置いており、全従業員を在宅勤務に切り替えた。上海エリアには生産拠点はなく、部品調達などへの影響も現時点では確認できていないという。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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