【データ】海外赴任者・出張者・海外からの受け入れ人員の実態調査 EY調べ


 EYは10日、海外赴任者・出張者・海外からの受け入れ人員の実態調査の結果を発表した。

・海外出張・赴任の再開予定時期について、「再開時期は未定」と回答した割合が、日本から海外の場合( アウトバウンド)は41%、海外から日本の場合(インバウンド)は54%といずれも高い結果に

・海外出張者に関する主な課題として、50%以上が「水際対策」と回答。一方で、2021年11月に発表された水際対策19(新規外国籍者の受け入れおよび入国後隔離期間中の行動制限緩和)については、「手続き方法が煩雑、理解不足、準備が間に合わないなどの理由で手続きを開始していない」と回答した割合が半数を超え、情報のキャッチアップが課題になっていることが明らかに

・外国籍社員の採用人数は年間平均5~6名という結果。直近数年間では企業が外国籍社員の採用を強化する傾向にある一方で、今後の外国籍社員の採用見通しについては、「分からない」との回答が64%に上り、コロナ禍の影響で採用活動も不透明化する傾向にある

 

EY税理士法人およびEY行政書士法人は、海外赴任者・出張者・海外からの受け入れ人員の実態を調査した「第2回EYモビリティサーベイ」を発表したことをお知らせします。

 

コロナ禍での水際対策の影響で、海外赴任・出張だけでなく、海外から受け入れる外国籍社員の赴任・採用計画も不透明化していることが分かりました。また2021年11月発表の「水際対策強化に係る新たな措置(19)」(水際対策19)は申請期間が短かったことも影響し、結果的に多くの企業が申請を見送り、直後に発表された水際対策20(水際対策19を1カ月間停止する新たな措置)の影響で一時帰国や再入国を予定していた赴任者にも大きな影響を与えたことが明らかとなりました。

 

本調査は、海外赴任者・出張者・海外からの出向者の実態を明らかにすることを目的とした調査で、2021年から開始しました。主に企業の人事・経理・経営・企画部門など、管理系部門に属する229人(218社)の回答をもとに、海外赴任者に関する実態を調査・分析しました。第2回のテーマは、「ビザ・水際対策・海外出張・外国籍社員の受け入れ」です。

 

<第2EYモビリティサーベイの調査結果>

コロナ禍での水際対策が海外出張者に大きな影響

コロナ禍での入国・出国制限は、いまだに企業の海外計画に大きな影響を及ぼしています。出張者に関する課題については、出張費用や短期海外滞在に関する法令・規則の順守といった、これまで挙げられてきた課題を抑えて、水際対策を挙げる企業が最も多い結果となりました。

 

水際対策に関する情報キャッチアップが課題

ビザ・水際対策の最新情報は「外務省・大使館のホームページや発行物」から入手しているという回答が80%以上を占め、政府の動向を注視している企業が多い中、ビザ手続きに関しての課題として、「制度変更があった場合の情報をキャッチアップできていない」と回答した割合が49%を占め、情報の更新スピードに対応が追い付いていない状況も明らかになりました。

出張者のビザ手続きに関する業務は、自社対応(出張元)と、旅行代理店や行政書士などの専門家を利用する外部委託とに二分され、特に自社対応の場合は、一連の水際対策・ビザ対応に関する事務手続きの煩雑性、リソース不足を感じるという意見をいただきました。

 

新規外国籍者の受け入れ停止は外国籍社員の赴任・採用に影響

外国籍社員の採用人数は年間1~9名と回答した割合が60%で最も多く、79%の企業が外国籍社員を採用していると回答しました。また、海外から日本へ赴任する外国籍赴任者も52%と半数を超えており、人員配置・採用のグローバル化が進んでいる傾向が見えます。ただしコロナ禍での水際対策により新規外国籍者の受け入れが停止したことが影響してか、今後の外国籍社員の採用を増やす予定については、「はい」(24%)が「いいえ」(12%)の2倍という結果ではあるものの、「分からない」との回答が64%と採用計画の目途が立たないと感じる企業が多い傾向にあります。

 

水際対策順守のための社内体制構築は進むが水際対策変更時の手続き方法の煩雑性が課題

水際対策順守のための社内体制の構築状況については、現在構築中を含めると、75%が構築していると回答しており、企業内でも海外計画を進める上で体制構築が重視されていると言えます。一方で2021年11月8日発表の水際対策19については、一時停止までの期間が3週間程度と短かった影響もあり、申請済みは14%(新規外国籍者の受け入れ)、15%(入国後隔離期間中の行動制限緩和)で、その中でも、既に審査済証を入手している、とした回答はそれぞれ3%、8%と非常に低い水準にとどまっています。

一連の水際対策についての課題として最も多く挙げられたのが「所要期間の不透明性」で64%の企業が回答しています。水際対策19のように、複雑な手続きを経ても所要期間が不明であれば、申請を見送るケースも出てくることが懸念されます。

中でも、「手続き方法を理解したが煩雑であるため行っていない」、「手続き方法への理解が不足しているため開始していない」、との回答も3割以上を占め、企業側の負担や手続きの煩雑さが課題となっています。

また2021年11月30日発表の水際対策20は、時期が年末に近かったこともあり、年末年始の一時帰国などを中心に、何らかの影響が出たとの回答が9割以上を占め、水際対策の変更により対応に苦慮する企業の姿も垣間見えます。

 

海外出張・赴任に関する課題と取組事例

課題としては、コロナ禍の水際対策で行動制限中の帰国者の管理や業務への影響、ビザ取得に時間がかかるため赴任計画に遅れが生じる、海外在住者を採用したが入国できない状態が続いていること、などが挙げられます。また、入国、出国に制限がかかっている影響でリモートワークの導入を検討しているが、税務上のリスクを懸念しているという声もあります。

取組事例としては、コロナ禍での赴任・出張ルールの策定や、IT管理ツールの導入、出張・赴任情報の一元管理など、ハード・ソフト面でさまざまな事例が挙げられました。

 

モビリティ分野の管理ツールの導入状況

赴任・出張など人の移動のオペレーションを管理するツールの導入状況は、導入している・検討中とした企業は13%、自社開発ツールと外部ツールの利用が半々という結果でした。自社開発ツールは自社の状況に合わせた仕様で開発できる反面、開発までに工数がかかるというデメリットもあります。外部ツールはすぐに利用できる反面、コストがかかるため、管理ツール導入の際には、赴任・出張者の規模や管理内容などを精査した上でツールを選択する必要があります。

 

EY行政書士法人 パートナー 木島 祥登(きじま よしと)のコメント:

「コロナ禍における海外赴任者の受け入れ、海外赴任の送り出しは、頻繁に変わる運用やルールに関する情報収集やリソース不足に苦労した企業が多いことが浮き彫りとなりました。2022年3月1日から比較的緩和された手続きを通じて観光目的を除く外国人の新規入国制限が認められることになりました。EYでは今後も引き続き水際対策の最新情報の提供を進めて参ります。また、今回のサーベイの結果では、モビリティ分野の管理ツールの導入状況は低調ですが、より複雑化するグローバルモビリティに適応したさまざまな管理ツールのご紹介を通じて企業の皆様のお役に立ちたいと考えています」

 

<第2回EYモビリティサーベイ概要>

目的:海外赴任者・出張者・海外からの受け入れ人員の実態調査・分析

テーマ:コロナ禍の一時帰国者処遇、利用できないベネフィット・残留赴任者の取り扱い

実施期間:2021年12月8日(水)~2022年1月17日(月)

回答者数:229名(有効回答数* :218社)

*同一企業から複数名ご回答いただいた場合は、以下の基準により代表回答を選定

1. 本社と現地子会社―本社の回答を優先

2. 人事系部署とそれ以外の部署―人事系部署を優先

3. 同一部署内で複数名のご回答―設問に対する有効回答数が多い方を優先

 
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