長崎IR 4383億円調達 事業予定者 開業費確保へ見通し

 長崎県と佐世保市がハウステンボス(HTB)への誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)について、IR設置運営事業予定者が、IR開業のため総額約4383億円の資金を調達する見通しであることが9日、分かった。資金を巡っては、県議会などから確保できるのか不安視する声が上がっていた。
 県はIRを手掛ける設置運営事業予定者にオーストリア国有企業傘下の「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)のグループを選定。CAIJを中心に資金調達などの準備を進めている。
 県は総事業費を約3500億円と想定。関係者によると、CAIJ側は施設整備や運転資金などのコストを勘案し、資金を調達する。資金の内訳は、金融機関からの借入金などが約2630億円、企業などからの出資金が約1753億円。出資金のうち、CAIJが約60%、外資系が約30%、国内企業が約10%をそれぞれ支出する。
 このほか、IRの運営主体となる特定目的会社(SPC)として「KYUSHUリゾーツジャパン」を設立。協力企業などとして、世界的な高級ホテル「ハイアット」(米国)のほか、オーストリアを代表するレッドブル、ホテルザッハー、スワロフスキー、国内からはJTBや凸版グループなどが参加する見込み。
 CAIJなどは10日、県議会に対し、こうした方針について説明する。
 県は今月中にも市民向けの公聴会を開催。市民の意見を聞いた上で事業者側と共同でIR区域整備計画を作成し、4月28日までに国へ申請する。国は最大3カ所を認定する予定。


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