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国境開放策に転じたオーストラリア 47位から5位に急浮上 —COVID耐性ランキング2022年2月

2022.03.10

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アメリカの大手総合情報サービス会社ブルームバーグはこのほど、コロナ禍における世界で最も安全な国・地域の番付「COVIDレジリエンス(耐性)ランキング」の2月版を発表した。このランキングでは、コロナ禍における感染抑制やワクチン接種率、死亡率、渡航再開の進展度合いなど11のデータ指標に基づいて、53の国・地域を比較。どの国・地域が最も効果的に新型コロナウイルス感染症に対応できているか毎月発表している。

 

ゼロコロナからウィズコロナへ転換傾向強まる

各国でオミクロン株の感染スピードが落ち着きつつあり、軽症で済むという特徴も判明したなか、ゼロコロナからウィズコロナへ政策転換した国が今月もランクアップした。1位は1月と同じくアラブ首長国連邦(UAE)で、2位アイルランド、3位サウジアラビア、4位ノルウェー、5位オーストラリアと続いた。最下位はパキスタンだった。

連続1位になったUAEは、調査した53カ国中、最もワクチン接種回数が多く、国境の開放度も依然高いことが高評価につながった。3月末まではドバイで万博も開催されている。また、屋外でのマスクの着用義務をなくすなど市民の行動制限が緩和された欧州各国も上位に入っている。

日本は前月から16ランク下げて、33位。各国がワクチン接種済みの渡航者に対して入国緩和に踏み切るなか、いまだ厳しい入国制限をしていることが低評価につながった。ただ、3月からは日本も段階的に入国制限を緩和し始めており、今後国境開放度がどれくらい進むかで3月の順位に影響するだろう。

図出典:Bloomberg「COVIDレジリエンス(耐性)ランキング」

最も急上昇したのはオーストラリア

2月に最も急激なランクアップを記録したのがオーストラリアだ。パンデミック発生直後から2年間続けてきた全面的な渡航禁止を解除し、2月21日からワクチンを接種していれば隔離期間なしに旅行できる国境開放策に転じたため、前月の47位から42ランク上げ、5位になった。同じくゼロコロナからウィズコロナへ転換し、段階的に入国規制緩和を進めているニュージーランドは24位だった。

 

先月より20ランク以上下降した国も

これまで最下位の常連だったフィリピンは1月より3ランク上げて50位となり、2月の最下位はパキスタンだった。ワクチン接種率が低いままで、特にワクチン未接種者に対しては厳しい行動制限を課していることが要因とみられる。医療インフラの弱さも指摘されており、1月より15ランクダウンで最下位となってしまった。

ワースト2は1月より19ランクダウンの香港だった。1年前にはゼロコロナ政策により感染封じ込めの優等生として、一時全体の9位まで上昇していたが、オミクロン株に置き換わった今でも厳しい検査体制や隔離措置などゼロコロナ方針を続けていることが低評価につながっている。そのほか、1月と比べて20ランク以上下降した国はシンガポール、台湾、イラン、中国、ナイジェリアだった。25ランクダウンと最も大きく下降したイランは、オミクロン株の感染拡大により、一部の学校を閉鎖するなど厳しい行動制限をとったことが影響した。

 

陽性率はもはや指標にはならない

ブルームバーグでは、これまでランク付けの基となる12の指標の1つだった陽性率を今月から外した。感染力は強いが軽症で済むオミクロン株においては、陽性率が高いか低いかはそれほど大きな危険信号にはならないと判断したからだ。各国でワクチンが普及し、重症化しないオミクロン株に置き換わった今、コロナウイルスをインフルエンザと同様のレベルで扱う国も増えている。ウィズコロナ時代に沿った施策や入国規制緩和がとれるかが、今後のランキングを左右しそうだ。

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