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修学旅行のキャンセルが相次ぐ沖縄県が、旅行の実施検討を求めた異例の「お願い」を各教育委員会などに行っている。コロナ禍で旅行先を変更する学校も多く、修学旅行の選択肢から沖縄がなくなるとの危機感があるため。予約は2年前に受けるのが通常で、県は「今は難しくても将来に向け、沖縄での平和教育の灯を消したくない」としている。
「他では体験できない独自の文化や豊かな自然、歴史に直接触れられる絶好の機会。万全の受入体制とおもてなし『うとぅいむち』の心で迎えます」。県は17日、「沖縄での修学旅行の実施について」とする文書を知事名で全国に発出。ホームページにも掲載した。
県内はコロナ禍前、年間約2400校、43万人の児童生徒が修学旅行で訪れた。だが、感染拡大で2020年度は231校、4万3118人と激減。今年度上半期(4~9月)は25校、5000人(速報値)とさらに落ち込みをみせる。
文書は「第6波」となった今回の重点措置が全国に先駆けて適用された同県が、旅行の中止や行き先変更を再考してもらおうと作った。感染拡大のたびに延期する学校が多かったが年度末が迫り、次は中止になる可能性が高い。行き先変更で他県での旅行が「実績」になれば、沖縄が今後、選択肢から外れると危惧した。
県は、2020年9月に修学旅行の受け入れに特化した感染対策の指針を策定。6度改訂し、強化してきた。バスではガイドが乗客を向かずにアナウンスすることや、密閉空間になるガマ(自然
那覇バス・琉球バス交通(沖縄県豊見城市)は27日、入社1年目のバスガイドの女性(19)が指針に沿って、進行方向を向いてマイクを握った。小川吾吉社長(75)は「沖縄では通常のガイドラインに上乗せして対策している。万全の対策でお迎えしたい」と説明する。
沖縄など3県だった重点措置は27日で34都道府県に拡大した。県は現在、感染拡大地域からの来訪を控えるよう呼びかける。「修学旅行の予約は2、3年前に入る。沖縄の修学旅行をつなぎとめたい」と話す。