WHO、コロナ渡航制限「価値ない」 撤廃・緩和勧告
【パリ=白石透冴】世界保健機関(WHO)は19日、新型コロナウイルスの専門家による13日の緊急委員会の結果を公表した。同委員会は新型コロナに関わる渡航規制を撤廃するか緩めるよう加盟国に勧告した。実施する価値がなく、経済的・社会的な負担を各国に強いるためだとしている。
同委員会は変異型「オミクロン型」が発見された後に各国が導入した渡航制限が感染拡大を防げず失敗だったとして「こうした対策が効果的でないことが明らかになった」とした。ただ日本をはじめ複数の国で渡航制限が続いている。
変異型を迅速に特定するなどの目的のため、新型コロナの監視を続けてWHOに報告することも求めた。コロナの危機が下がったとして一部の国で感染者数の把握をやめる検討が始まっているが「変異型が現れる可能性がある地域では、感染把握の努力を強化することが推奨される」と反対した。委員会は全会一致で「パンデミック(世界的流行)がいまだ緊急事態である」ことに合意したという。
欧米では渡航制限の緩和に踏み切る動きも出ている。米国は2021年12月末、往来制限による抑制効果は乏しいと判断して南アフリカなどアフリカ南部8カ国からの入国制限を解除した。英国はオミクロン型対策として英国に入国する12歳以上の全ての人に義務づけていた検査を1月から廃止した。英政府は「オミクロンは英国内で支配的な変異型であり、対策はもはや妥当ではない」と理由を説明している。
コロナのヒト―動物間の移動や、動物の感染状況について研究することも勧告した。動物の中でどんな変異型が誕生し、公衆衛生上の危機となるかなどについて理解が深まるためだとしている。
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