関西3空港懇、万博向け関空の改修を確認 神戸の国際化も検討継続

関西3空港懇談会の冒頭で挨拶する関西経済連合会の松本正義会長(右端)=13日午後、大阪市北区(恵守乾撮影)
関西3空港懇談会の冒頭で挨拶する関西経済連合会の松本正義会長(右端)=13日午後、大阪市北区(恵守乾撮影)

関西国際、大阪(伊丹)、神戸の3空港のあり方を官民で議論する「関西3空港懇談会」(座長=松本正義・関西経済連合会会長)が13日、大阪市内で開かれ、関空第1ターミナルの主要部分の改修工事を2025(令和7)年大阪・関西万博までに完了させることを確認した。新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染拡大で国際線の回復が遠のくなか、国と地元自治体による継続支援が不可欠だ。

令和2年11月以来、約1年2カ月ぶりに開かれた会合では「2025年までに万全な空港受け入れ体制を整え、万博の成功を期す」との基本方針をまとめ、関空の改修など「旅客処理能力の拡大継続」を確認した。旅客回復を見越し、関空の年間発着回数23万回到達を見据えた環境影響調査に向けた作業も継続する。

また、万博に向けた検討課題と位置付ける神戸空港の国際化は議論を継続する。次回までに3空港を運営する関西エアポートと神戸市が空港のあり方を協議し、報告することで合意した。

伊丹空港では、運航の遅れなどで運用時間を過ぎた時間帯に発着する便の発生が課題となっており、騒音などの環境改善に向けて「定時運航率の向上などに取り組む」と確認した。

関空の改修は、国際線を拡充して空港全体の年間受け入れ能力を現在の約3千万人から約4400万人まで拡張する計画だ。

一方、関空の昨年11月の総旅客数は前年同月比17%増の37万4898人。12月も同程度の伸びと試算すれば、年間旅客数はコロナの影響が春から大きくなった前年の約半分の約294万人にとどまる。特に国際線はコロナ前に比べて99%減の水準で低迷を続ける。

英航空データ分析会社シリウムが公表した昨年10月時点の予測は「世界の航空交通量は2023年半ばに(コロナ前の)19年の水準に回復」とした。ただ、岸田文雄首相は、外国人の新規入国を原則禁止する水際対策の骨格を来月末まで維持する方針を表明。航空需要の回復はさらに不透明になった。

記者会見した松本氏は「どのようなステップを踏んで関空の需要予測を行い、拡張を続けるのか議論を続けたい」と述べ、今年夏までに次回会合を開催する意向を示した。関西エアの山谷(やまや)佳之社長は「必ず需要は回復するので、工事は歯を食いしばってきちんと完成させたい」と語った。

空港の運営に詳しい関西学院大の野村宗訓(むねのり)教授は「コロナが長期化すれば関空のような民営化空港の経営は厳しくなり、国の追加支援が必要になるだろう。チャーター便やビジネスジェットの誘致など、少人数による新しい旅行のあり方を見据えた工夫を、自治体などが協力して考えなくてはならない」と指摘する。(牛島要平)

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