スリランカ「紅茶」で石油代…コロナで観光打撃、外貨が足りず

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 【ニューデリー=小峰翔】スリランカとイランの両政府は21日、スリランカが特産の紅茶を輸送して、イラン産石油の輸入で生じた2・5億ドル(約280億円)の支払いに充てる覚書を交わした。スリランカは外貨準備高不足に加え、新型コロナウイルスで主要産業の観光業が大打撃を受け、債務返済に奔走している。

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イランに返済合意

 地元メディアなどによると、スリランカは国営イラン石油公社から過去に輸入した石油代金の早期返済を迫られていた。支払いに窮し、毎月500万ドル相当の紅茶をイランに輸送し、返済したとみなす枠組みが考案された。紅茶代はスリランカ政府が地場業者に支払う。

 米国は核開発を巡る対立で、イランとの取引に制裁を科している。スリランカ政府は、紅茶は食糧などと同じ人道支援物資で、制裁対象のイランの銀行を介さないため、違反には当たらないとの考えだ。イランは過去数十年にわたり、紅茶の輸出先の上位10か国に入る得意先だという。

 スリランカでは、新型コロナ禍を受けた外国人の入国制限で観光業に大きな影響が出た。中央銀行は22日、外貨準備高は年末時点で30億ドルを超えると発表し、懸念 払拭 ふっしょく を図ったが、英BBCによると、2022年に返済期限が来る債務額は45億ドルに上っている。国内通貨のルピー安も続いている。格付け会社フィッチ・レーティングスは17日、今後数か月内の債務不履行(デフォルト)の可能性が高まったとして、スリランカを格下げしていた。

 スリランカでは、中国が大規模インフラ事業を多数受注している。返済が滞れば、中国企業に99年間貸与することになった南部のハンバントタ港のように、「債務のわな」に陥りかねないとの懸念が根強い。

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